こんにちは。
大事に大事にゆっくり読もうと思って、チョビチョビ読み進めていたのですが、ついに読み終わってしまいました。

 

翻訳家・岸本佐知子さんのエッセイ『ひみつのしつもん』。

読書人間がよく使う”積ん読”っていうことばが、私はあまり好きじゃないのです。けれども確かにあって。積ん読になっている本の中には、読み始めたけどのつこつして放置しているものと、読み始めるのに気力がいりそうなもので放置しているものと、読み終わりたくなさすぎて積んであるものの3種類あります。

(あ、この「のつこつする」って方言でしょうか? 大阪弁なのかしら。使うよっていう方いますか? 我が家では良く使われていたのですが、会社で言ったら誰にも通じなかったのです……。苦手な野菜とか、箸でいじるばかりで全然食が進んでないことなどを「のつこつする」っていうのです。「あかんか。あんたさっきからのつこつしてるやろ?」とかおばあちゃんに指摘されたり。関西のことばなのかもしれません)。

話が逸れましたが、岸本佐知子さんの『ひみつのしつもん』は、のつこつではなくて、読み終わるのが惜しすぎて、ちょっとづつ読んでは本棚に戻し、読んでは戻し、してたんです。

岸本さんが雑誌「ちくま」で18年も続けられているというコラム「ねにもつタイプ」をまとめたものの3冊目。18年ってすごいですね。1冊目を読んで以来、岸本さんのエッセイのファンだったんですが、今年話題となった『掃除婦のための手引き書』(ルシア・ベルリン著、岸本佐知子訳)の出版記念トークショーでご本人にお会いして、ますます大ファンになってしまいました。

左が岸本さん。パリッとした白いシャツを少し開けて着てらして。白いパールのネックレスと白い歯が照明に照らされてきらっとするのをかっこいいなあと思って遠くからカメラの望遠レンズごしにみてました。

このトークショーの時も、ご本人もほとんどずっと笑ってらして、笑顔の素敵な方と思ったけれど、会場も何度もどっと沸いていて、“笑かす”のがお好きな方なんだなあと思いました。

このエッセイ本でも何度も笑ってしまいました。吹き出すって感じではなくて、ニヤニヤする。終始ニヤニヤして読んじゃうので、電車の中とかは注意です。

好きなエピソードをあげるとキリがなくて。すごく面白かった話を伝えようとして、先に自分が思い出し笑いしちゃって、聞くひとには、その面白さが全然伝わんないやつ、になりそうなのでやめておきます(汗)。私の要約では伝えきれない……。岸本さん節があってこそです。

でもやっぱりちょっと紹介しちゃおう。岸本さんは桃がすごく好きという話。

「桃の季節には桃を食べる。桃ばかり食べる。
桃はおいしい。「おいしい」以外の形容詞を思いつかない。おいしいということのためだけに存在している。あまりに純粋においしいので、逆に不安になってくる。」

以下、ずっと桃を形容し続けるんですけど、すごくないですか! 「おいしい」以外の形容詞を思いつかない、と先に言っておきながら。憎い。

インテリジェンスなユーモアが詰まりすぎていて憎い。素敵が大渋滞している。

リンゴの話も好きです。「成長の瞬間」という話なのですが。岸本さん、みつ入りのリンゴもたいそうお好きらしい。

我が家にもみつたっぷりのリンゴが今日届きました。主人の実家より頂き物。むふふ。おいしそう! ありがたや〜。

​「この「みつ」の部分が特に甘いわけではないことを、今の私は知っている。」

と岸本さん。

え! そうなの!

「そうとも知らず、なるべく「みつ」の部分を削らないよう苦心して芯を取り、「みつ」の部分だけをちまちまとかじって甘いと思いこもうとしていたかつての自分を思うと、ほほえましくも憐れになる。」

え! 私もそうしてた!

と、今知った私ですが(汗)。でも確かに、あんまりそこは甘くないなと気づいてはいました。いましたよ。

リンゴの「みつ」の話から

「こんな風に、「あ、いま大人になった」とはっきりわかる瞬間が、今までの人生には何度かあった」

と意外な方向へ話が展開するのですが……そこはネタバレせず、読んでのお楽しみにしておきます。

その結論とは違うのですが、「いいとこどり」のつもりが本当は「いいとこ」じゃなかったと、後から気づくこともあるよな〜とも思いました。