こんにちは。編集・川端です。今日がいよいよ今年最終出社日という方も多いでしょうか。さあさあ、お待ちかね! バタやんのベストブック発表の時期がやってきましたよ!(待ってない? 忘れてらした? えっ)。

「もうちょっと早く発表してくれたら、帰省のおともに持っていけたのに」というお声も頂いたので、今年はちょっと早く……と言ってもこんなギリギリになってしまいましたが(汗)。発表します。ベストブックの前に、年末年始におすすめの新書&文庫から!

年末に、伊藤詩織さん勝訴のニュースがありました。勝訴してよかったなあと心から思う一方で、330万円って少なくない!?という怒りや、元TBS記者の山口敬之氏の会見のふてぶてしい態度に、嘔吐くような不快感を覚えたり……。どうして被害者がこんな思いをしなくてはいけないんだろうとやりきれない気持ちになりました。

『なぜ、それが無罪なのか!? 性被害を軽視する日本の司法』  を読むと、日本の今の法律では、いかに有罪に持ち込むことが困難で、“同意がなかった”と証明することがいかに困難か分かります。

海外の事例で、「Yes Means Yes」という概念が紹介されています。日本の場合は、「いやよいやよも好きのうち」なんて風潮や、“壁ドン”に象徴されるような、俺様な男性に“強引に”迫られることをある種<憧れ>としてティーンの頃から刷り込まれている部分がありますね。

この本には、実際にそう言った被害にあった際にどうすればいいのかという具体的な話も載っています。そういう具体的なハウツーがメインではなく。自分のためにも、次の世代の人たちのためにも、今の裁判の判断基準がどうなっているか、法律がどうなっているか、知っておくだけでも意味があると思いました。

被害者にも“落ち度があった”なんて、誰もが絶対言うべきじゃないことや、「Yes Means Yes」の考えを、子どもたちにも伝えていけるといいなあと思うのでした。

さて、現状の惨さを知る社会派なもう一冊を。

この本の統計によれば、日本では1年に新品の服が10億枚、約4枚に1枚の割合で捨てられているという恐ろしい現状。

アパレル業界の商業のセオリーの一つに「商品の陳腐化」というのがあります。=自分たちで自分たちの商品を陳腐化する。

一部のファストファッションには、大量に生産された安価なトレンド品が翌年にはクズ同然という図式や、ハイブランドには、セールや二次流通に流れることによるブランド価値の低下を恐れてシーズン遅れのものを大量廃棄する、という秘密の商習慣もありました。

もちろんそこは、アパレルブランドだけが悪いわけじゃなく、流通の仕組みや私たちのようなメディアの罪もあります。

今は、SDGsの流れから、大きなブランドほどそういったことをやっていてはダメだという傾向に。とはいえファッションの「過剰供給」の状況にはなかなか歯止めがかからないのが現実でもあります。

後半はコンビニの話になります。

節分の翌日には大量に廃棄される恵方巻き。これもある種、売り手の意図的な「商品の陳腐化」ですね。

私自身は、コンビニでもスーパーでも恵方巻きを買う習慣がなく。ミモレはこれを買えというメディアではないつもりですが、ファッション消費を促す部分は否定できず。つまり、どちらも廃棄の罪の一反を担っているのに、どの口がいう!?みたいなところはあるのですが……。

不都合な真実、国も統計をはっきり出していない不都合な数字などを知ることができるこういった本に出逢えてよかったと思いました。

これからはきっと「何を買って、何を買わないか」という選択が、自分の生活だけじゃなく、日本を世界を変えて、地球を変えていく。知識はそういう時に判断の基準になると思いました。

さて、重いテーマの2冊をご紹介したところで、旅先や帰省先、移動時間に気軽に読める文庫をご紹介します!

 
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