人生100年時代の「自分らしい人生」って、どうデザインしていけばいいのでしょう?
多様な生き方・働き方を実現する女性専門の人材エージェントWaris(ワリス)共同代表の田中美和さんが、転職や再就職、独立などの「ライフシフト」を経験した女性たちのリアルストーリーを通じて人生100年時代を生き抜くキャリアのヒントをお届けしていきます。 ※文中の氏名は仮名です。
「想像通りですが、毎日めちゃくちゃ忙しいです(笑)」。そう言いつつも、充実した表情を見せる藤田里子さん。昨年5月にWarisから紹介を受けた技術系ベンチャーへ人事総務担当として転職したばかり。社員数はこの1年で約1.6倍になるなど急成長中の会社です。また藤田さんは、プライベートでは小学生の男の子を育てるシングルマザーでもあります。
実は藤田さんは「20代は役者をしていた」という異色のキャリアの持ち主。複数社での派遣社員を経て入社した前々職の勤務先には、表現活動のかたわら38歳まで14年にわたって在籍。経理、人事、総務と幅広く担当し、本社移転も経験しました。
「20代30代は『来た仕事は断らない』をモットーにしていました。とにかく目の前の仕事を夢中でこなした14年でした」
そして38歳で最初の転職。このときの転職の目的は「報酬アップ」だったと言います。
「正直言って、もともと給与がかなり低くて……。ずっと気にはなっていたんです。私は人事も担当していたため市場の相場感がわかるので、自然と『自分のスキル・経験に見合った金額をもらいたい』という気持ちが強くなっていきました。一方で、その会社ではそれ以上の報酬アップは難しかったので転職を決めました」
30代後半での転職に不安はなかったのでしょうか?
「まったくなかったです。今は労働人口の減少で、売り手市場なんですよね。人事担当でもあったので、そのあたりの肌感覚はあって。勤務していた会社は中小企業で、福利厚生が充実しているとか、特に安定感があるというわけでもなかったですし。よりいい環境を求めて行動したいと思いました」
ただ、「報酬アップ」を目指すうえで自分の強みの分析は徹底的にやったと言います。
「14年間でやってきた業務をいったんすべて書き出して眺めてみて。できるだけ数値化できるものは数値化してみました」
そこで見えてきた強みが「経験したことの幅の広さ」と「フットワークの軽さ」でした。
「従業員数50人くらいの中小企業で経理・人事・総務と幅広く経験してきたことは強みだと感じました。管理部門の仕事って『反射神経』がけっこう大事なんですよ。営業やマーケティングと違って先頭に立って物事を動かすわけではないけれど、社内のニーズを受けて必要とされる業務を素早く確実に打ち返す力が求められる。それを10年以上やってきた点も強みだと感じました」
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