人生100年時代の「自分らしい人生」って、どうデザインしていけばいいのでしょう?
多様な生き方・働き方を実現する女性専門の人材エージェントWaris(ワリス)共同代表の田中美和さんが、転職や再就職、独立などの「ライフシフト」を経験した女性たちのリアルストーリーを通じて人生100年時代を生き抜くキャリアのヒントをお届けしていきます。 ※文中の氏名は仮名です。
「育児と仕事の両立や上司との関係に悩むうち、メニエール症候群になってしまったんです」と話す40代の鈴木あかりさん。現在はフリーランスで働く鈴木さんが独立したきっかけは自身の体調不良でした。
「天地がひっくり返るようなめまいや、ひどい耳鳴りが日常的にあって。これは悪化する前に環境を変えなきゃ、仕事を辞めなきゃと思いました」
当時、鈴木さんが勤務していたのはヘルスケア系の調査会社で、リサーチャーとして勤務していました。しかし、長時間労働が常態化している職場で育児との両立は並大抵のことではありませんでした。
「ほぼ連日のように家に仕事を持ち帰っていましたね。16時30分まで時短勤務。そのあと子どもを迎えに行って食事やお風呂を済ませ、子どもを寝かしつけてから21時台、22時台に働いて。リサーチ業務って本来は在宅勤務でも十分できる業務なんですよ。でも昔ながらの中小企業だったので、情報をクラウドで共有してリモートで仕事して……が許されない。あくまでオフィス常駐の働き方しかできないことに疑問を感じました」
働きづらさの背景には上司との関係もありました。
「調査ってスピードが求められる側面があるんです。その日のうちにとか、翌日までに直してほしいといったクライアントからの急ぎの修正依頼が来るのですが、時短勤務だと私のほうですぐに対応できない。『だったら他の社員に頼んだほうが早い』と上司に言われ、本来私がやるはずだった仕事を奪われてしまい……やりがいが奪われるような気持ちにもなりました」
そうこうしているうちに冒頭の体調不良を発症してしまったのだと言います。「会社を辞める」。そう決めてから、鈴木さんが始めたのが副業でした。
「副業」「調査」そんなキーワードで検索し、見つけたインターネット上のクラウドソーシングサイトに登録。まずは会社員をしながら副業を始めたそう。「クラウドソーシング」とはインターネットを介して発注側が不特定多数の人に業務を委託できる仕組みで、日本でも主要なサービスがいくつかあります。
「クラウドソーシングというものを、そのとき初めて知りました。最初から最後までインターネット上だけでやりとりが完結しますし、本名などの個人情報を出す必要もない。とても気軽に副業に挑戦できました」
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