「幸せってなんだろう」
「何のために働くのかな」
「自分って何だろう」

いくつになっても、そんな答えのない問いにぶつかる瞬間はあるのではないでしょうか。その時々に真剣に考えては見るものの、筆者などは目の前に迫った仕事の納期や子供の「ママ、見て!」によって一瞬にして雲散霧消してしまうことばかり。
そしてまた「あと一ヶ月で今年も終わり!?」という驚きでバタバタと年の瀬を迎えそうな今、一年の締めくくりとしても、2020年の抱負を考える意味でも読んでいただきたい一冊が、『哲学人生問答』です。

本書はアドラー心理学で知られる哲学者の岸見一郎先生が、ご自身の母校・洛南高校で行った授業を元に構成されています。
「『幸福』ということを、実感を持って理解できません」「人の評価を気にして生きてきたので、“ありのままの自分”がわかりません」といった高校生たちの鋭く根源的な問いに対し、岸見先生は平易な言葉で熱く語りかけます。

 


哲学者が考える幸せな働き方とは?


そんな中で特に働き世代に読んでいただきたい!と思った問答がこちら。

質問「将来は経済性の高い、給料の安定した職業に就くべきなのか、それとも自分がやりたいと思っているブランド品のバイヤーになるべきなのか、悩んでいます。
バイヤーの仕事は、お金が入らない可能性もあります。どちらを選択すれば幸福になれると思いますか。
自分は金銭欲がすごく強いので、稼げるなら魂を売り渡してもいいと考えています。とにかく、お金さえ儲かればいいのです」(一年生・男子)

「お金VSやりがい」――。就職前の男子高生のみならず、何十年と社会人している人でさえ、そのどちらもうまい具合に満たしてくれる仕事探しに苦労しているのではないでしょうか。
そして「お金さえ儲かればいい」と語った男子高校生に対し、岸見先生の答えは……。

 
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