体力が落ちると、さらに家の管理が悪くなるという悪循環に陥ります。こうした兆候が見られた場合には、やはり断捨離を親に勧めた方がよいでしょう。以前、このコラムで断捨離について取り上げたことがありますが、実は断捨離の緊急性が高いのは、自分自身よりも親であるというのが現実です。

帰省がチャンス!今年こそ「実家マネジメント」を始めよう_img0
 

多くの家庭がそうだと思いますが、どういうわけか実家にはおびただしい数のモノがあります。おそらく捨てるきっかけがないままモノが増えてしまった結果と考えられますが、年齢が高くなってくると一部の人は頑固になりますから、モノを捨てるように勧めてもなかなか聞く耳を持ってくれません。

 

しかしながら、家の中にたくさんモノがあると、転倒してケガをするリスクも高くなります。転倒によるケガが原因で、そのまま要介護に移行する人も多いですから、転倒を甘く見てはいけません。歌手の松田聖子さんはまだ50代ですが、2017年に転倒でケガをして車椅子でステージに立ったこともありましたから、親だけでなく、私たち自身も十分に気をつけた方がよいと思います。

ゆっくりとでよいですから、モノが多いことの危険性を親に理解してもらい、少しずつ、モノの量を減らしていくのがよいでしょう。

家具についても、大型のものは廃棄し、できるだけ小さい家具に切り換えた方が安全です。家具が大きいと、地震に対する備えが大変ですし、家族の状況が変化して、間取りを変えるといった場合にもかなりの手間がかかります。モノを減らして、小さな家具に変更するだけでも、実家の安全度は飛躍的に高まるはずです。

多少、お金に余裕がある場合には、思い切って、掃除などの有料サービスを頼んでみるのもひとつの方法です。高齢者の場合、こうしたサービスの利用について、抵抗感を持つ人が多いかもしれませんが、実際に使ってみると、見違えるようにピカピカになるので、考え方が変わるかもしれません。

こうしたサービス会社の中には、掃除前の状況と掃除後の状況を写真に撮ってメールで送ってくれたり、実際に掃除をした担当者が状況を電話などで報告してくれるところもあります。担当者の中には、相当なプロフェッショナルという方も多く、こちらが気付かなかった点まで対処してくれることもしばしばです。単発の利用であれば、それほど高額ではありませんから、実家での利用をぜひ一度、検討してみてください。

前回記事「高齢者負担2割へ。医療費の引き上げはどこまで進むのか」はこちら>>

 
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