かんぽ生命の不正販売問題が大きな騒ぎとなっています。日本郵政グループが公表している事例は氷山の一角である可能性が高く、ツイッターなどでは様々な話が暴露されています。真偽の程は不明ですが、中には認知症の老人に高額な保険を契約させたケースもあり、ここまでくると、もはや刑事事件のレベルといってよいでしょう。
日本では、認識能力が衰えた高齢者に、高額なモノやサービスを売りつけるビジネスが横行しており、特に一人暮らしの高齢者は格好のターゲットとなっています。この動きは、日本経済の貧困化や高齢化と密接に関係していますから、状況はさらに悪くなる可能性があります。
高齢の親が一人暮らしをしている場合には、子どもは親の貯金をより積極的に管理した方があらゆる面で都合がよいでしょう。
親の貯金を管理することは、詐欺の被害から親を守ること以外にも様々なメリットがあります。人の生活とお金は切っても切れない関係にありますから、お金の使い方は、その人の生活状況を如実に反映します。日常的な支出をごく簡単にチェックするだけでも、親の健常状態を把握できます。
電気代の動きを見れば、冷暖房の使い方が分かりますし、水道代やガス代からは、食事や入浴の状況もおおよそ分かります。小さな変化であっても、もしかすると、病気など大きな変化の予兆かもしれません。高齢になるといろいろなことがおっくうになり、暑くても冷房を入れない人が出てきます(冷房が体に合わなくなるというケースもあるでしょう)。
前年同月との比較で、夏の電気代が減っていれば、「最近、冷房をあまり使わなかったりしている?」といった会話をすることで、熱中症を予防できる可能性があるわけです。
こうした親の資金管理は、不幸にして親が倒れるといった非常事態が発生するとさらに大きな意味を持ってきます。近年、病気などで親と意思の疎通ができなくなった際、親の預金を1円も使えないという事態に陥るケースが増えているからです。
銀行はマネーロンダリング対策に神経を尖らせており、たとえ家族であることが明確であっても、親の預金を子どもが引き出したり、送金を指示することはできません。親の突発的な事態に対して、親の預金が使えないとなると、場合によってはちょっとしたパニックになる可能性もあるでしょう。
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