例えば三菱重工という企業は日本では「超」のつく大企業と思われていますが、売上高はわずか4兆円しかなく、業界トップ企業のひとつである独シーメンスの売上高は10兆円もあり、圧倒的な体力差があります。日本企業の方が親しみやすいのは事実ですが、安全を最優先するのなら、外国であっても業界トップ企業を選択すべきでしょう。
もう一つの素直さは一般常識に忠実になることです。10年ほど前のある日、筆者はアマゾンへの投資について質問されたことがありました。筆者は相手に「これからネット通販は伸びると思いますか」と尋ねると、相手は「伸びると思います」と答えました。そこで筆者は「ではアマゾンに投資してはどうでしょうか」と言いましたが、相手は「株価が割高ではないか」と返してきました。結局、その人はアマゾンには投資しなかったのですが、その後、アマゾンの株価は15倍以上になり、私も大きな利益を得ることができました。
株価が割高、割安というのはよく耳にする議論ですが、割高なのか割安なのか、絶対的に判定する手段はありません。PER(株価収益率)などの指標を使っても、将来への期待が高まれば、株価は上がっていきますから、こうした分析にはあまり意味はないのです。
筆者は金融機関に在籍していたこともあるので、財務や金融理論に関してはプロなのですが、専門知識を持っていることと、投資で勝てることはまったくの別問題です。たいていの場合、「これからはネット通販が伸びる」という一般常識の方が知識よりもはるかに重要な役割を果たします。難しく考えず、多くの人が伸びると思っているものにしっかり投資をすればよい結果が得られると思った方がよいでしょう。
今のタイミングであれば、EV(電気自動車)がよい例ではないかと思います。
EV化ついては様々な意見があり、EVについて声高に批判する人もたくさんいます。EVがダメであることを示す小難しい資料もたくさんあるかもしれませんが、おそらくほとんどの人が、近い将来、自動車はEVになると思っているのではないでしょうか。そうであれば、これからはEV関係の企業が伸びるという直感に従った方がよいと筆者は考えます。
10年、20年と投資を続けていれば、1回か2回はびっくりするような上昇相場に出くわします(筆者の場合も、2000年のネットバブル、2003年から2007年の構造改革相場、アベノミクス相場、トランプ相場と4回もめざましい上昇相場があり、この間に資産残高を大きく増やすことができました)。
株価が沈んでしまうと意気消沈して、投資を放棄してしまう人がいますが、皮肉なことに、投資を諦めた直後に大きな上昇相場がやってくるものです。欠かすことなくコツコツと長期で取り組むことには、よいタイミングを逃さないという効果もあるのです。
前回記事「帰省がチャンス!今年こそ「実家マネジメント」を始めよう」はこちら>>
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