火星を目指す女性科学者を育てた母の言葉『女の子にはムリ、なんて言わせたらダメ』_img0
 

マイノリティであることをアドバンテージに。


14歳の頃には、火星での都市建設プロジェクトを学校で発表。その後、ケープタウン大学で理論物理学を学び、ダーバンのクワズールナタール大学に戻って量子暗号学の修士号を取得します。その間、日本で過ごしたこともあったといいます。彼女が初めて経験した挫折は、日本の大学院進学のための奨学金を得られなかったことだそう。

「日本人の友達を訪ねて福岡に行って、そのまま住み着いてしまったんです。いろんな文化、皮膚の色、いろんな言語、背景、宗教が混ざった『虹の国』と呼ばれる南アフリカから来た私にとっては、日本人ばかりで日本語しか話さない日本は、異なる惑星みたいなものだったから(笑)。あまりにも真逆で興味があって一年住んでいました。もともとは日本で修士号を取得するプランだったんだけれど、文部科学省の奨学金留学生の面接試験のために南アフリカに戻らなくちゃいけなくて、そこで貯金も底をついて。結果、私は3番手で、奨学金をもらえなかった。だから、南アフリカの大学院へ行きました」

女性として火星を目指すことで障害はあるかどうかをたずねると、逆境に強いだけあるアドリアーナさんは、「男性優位の分野において女性でいることは、アドバンテージがある」と気づいたと話します。

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「私の性格的に、周りの男性は私を差別すること自体を怖がっている気もしますが(笑)、男性優位の分野だからこそ、資金調達の機会が女性に多く与えられる場合もありますし、男性ばかりいるミーティングで私が声を上げれば、みんな注目してくれますよね。マイノリティであることの特権はあると思いますが、ただ、自信はないとダメかなと。問題は、多くの女性が進んで声を上げる自信がないということにあると思います。自信は実際持てなくても、自信があるフリをして声を出すこと。そうすることで、女性であっても、異文化であっても、人はマイノリティに耳を傾ける。だから、マイノリティであることが役立つこともあると思いますね。自信さえあれば」


後編は1月24日(金)公開予定です。


撮影/中垣美沙
取材・文/小川知子
構成/山崎 恵

 

前回記事「自分自身を知り、人に伝える「キャリアのタグ化」とは?」はこちら>>

 
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