女性活躍をはじめとしたダイバーシティ推進のためのイベント『MASHING UP(マッシングアップ)』が今年も開催。ミモレでは2日目のキーノートスピーカーを務めたアドリアーナ・マレさんに個別インタビューを敢行、今回はその後編をお届けします。

インタビュー前編はこちら>>

 

アドリアーナ・マレ 理論物理学者、科学技術者。地球内外における持続可能な未来に向けた研究技術の新境地開拓を目指すOff-Worldの創設者。開発途上国の若者を教育面から支援するAfrica2Moonプロジェクトに取り組む宇宙開発財団の理事長も務める。南アフリカ政府の第四次産業革命タスクフォース諮問委員会の委員、シンギュラリティ大学およびデューク・コーポレート・エデュケーションの教員を務めるほか、マーズ・ワン計画の宇宙飛行士候補者にも選ばれている。2020年12月にはOff-Worldチームと共に、南極大陸で越冬による宇宙移住シミュレーションを実施・調査予定。

 


火星への移住を目指し、研究を続ける南アフリカ出身、36歳の理論物理学者、アドリアーナ・マレさん。火星移住計画「マーズ・ワン(Mars One)」の宇宙飛行士候補者にも選出されていたアドリアーナさんですが、「マーズ・ワン」は、破産宣告を受け資金面で先が見えない状態に。そんな逆境の中でも、他の惑星へ向けた技術開拓を目指すプロジェクト「プラウドリー・ヒューマン(#ProudlyHuman)」を設立し、自らの手で宇宙を目指す彼女に 、女性として自信を持ち続ける秘訣について聞きました。

今こそ、私たち一人ひとりが大きく変われるとき。


女性であること、マイノリティであることも自信を持ってアドバンテージに変えていく強さを持つアドリアーナさん。女性が自信を持つためには、その地盤をつくることが大事と考える彼女は、教育制度は変えられなくても、私たち一人ひとりが変わることはできると話します。

「私たちは、自身の子どもを育てる機会も、誰かにとってのメンターになる機会もあります。若者に対して責任がある。だから、彼らに自信を与え、考えることを教えることはすごく重要だと思っています。若者を否定せずに、アイディアや問いをシェアしていくことを応援することは大事。大人になると、あなたが知ってることは、他の人も知ってることだってわかるようになるじゃないですか。誰とは言わないけど、ある国の大統領を見たって知性があるとは限らないし、学位を持っているかとかお金を持っているかは関係なく、結局はみんな同じ人間なんですよね。私より、10代の若者のほうが、私よりもいいアイディアを持ってることだってある。だから、誰にでも参加して話すチャンスを与えるべきだと思う。だって、未来を救うどんな素晴らしいアイディアが次に待っているのかは、誰にもわからないですから」

 

「私たちは、地球上の生命の歴史の中でも特異な時点に生きている」と語る彼女。彼女にとって考え得る最大の変化であり、選択が火星への移住計画なのです。成功すれば未来の人類と地球を救うことになる、成功する保証のない大いなる冒険です。

「環境が変われば、種は絶滅しますよね。この変化は私たちが原因でもたらされたものですが、これに適応しなくては、私たちは生き残れません。特異なシチュエーションだけれど、なるべく早く、長期的で広範囲な新しい考え方をすることが重要だと思います。100年前と同じ考え方をしていても、問題は解決できない。一人ひとりの意識が変わる必要があって、『プラスチックを使わないし、リサイクルもしているから私ができることは終わり!』ではなくて、働く会社を、属するコミュニティを、政府、大陸を変える必要があるんです」

 
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