近所に歯医者が増えた、と感じることはないでしょうか。実際、盛況しているように見える歯医者もあり、ネットでの評判も悪くない。でもそれが本当に「名医」かというと……?
『現役歯科医が警鐘 こんな歯医者に行ってはいけない』の著者で目黒クリニック院長の今枝誠二さんが、「タコ焼き診察」に見られる金儲け主義の歯科医の存在を教えてくれました。

「タコ焼き診察」って?知っておきたい「悪い歯医者」の見分け方<br />_img0
 

いつも多くの患者さんが押し寄せて、待合室が大混雑している歯科医院があったとしましょう。そんな歯医者を見ると、きっと多くの人は「ほう。ここはすごく人気のある歯医者なんだな。きっとドクターの腕がいいんだろう。ここなら安心できるかもしれないな」などと、思い込んでしまうのではないでしょうか。しかし、それほど待合室が大混雑しているような歯医者がもしあったのなら、そこには決して行ってはいけないのです。
なぜなら、それほど待合室が混雑しているのは、「同じ時間帯に複数の患者を治療している証拠」だからです。そのような場合は、腕のいい歯医者とは言えないというよりも、むしろ儲け主義に走る「悪い歯医者」である可能性すらあるのです。
歯医者のほとんどは予約制です。そのため、たとえ腕のいい院長がいる人気のクリニックであっても、待合室が大混雑するようなことはまずありません。では、なぜ混雑しているのでしょうか。

 

待合室が混雑しているのは「タコ焼き診療」をしているからだ


私たち歯医者の間で使われている隠語に「タコ焼き診療」という言葉があります。タコ焼き器のように、診療チェアに患者をズラリと並べて、同時進行で手早く治療していくスタイルを指します。もちろん、「驚異的なスピードで診療を済ませてしまうスーパーな技術を持った歯医者」という意味ではありません。
じつは、タコ焼き診療を行っているのは、ハイペースで手早く治療をして少しでも儲けを増やそうという、完全な儲け主義の歯医者ばかりなのです。
日本の歯科医療は時間をかけて丁寧に治療するほど、儲けが出ないという構造的な欠陥を持っています。しかし、医者としての良心を持っているまともな歯医者であれば、そんなことをしてまで儲けたいとは思わないはずです。
10分や15分という短時間では、きちんとした治療ができるはずもないからです。だからタコ焼き診療など、もってのほかなのです。