『現役歯科医が警鐘 こんな歯医者に行ってはいけない』の著者で目黒クリニック院長の今枝誠二さんは、日頃の口腔ケアが寿命を延ばすポイントになると語ります。そこで最終回の本稿では、意外に知られていない「歯ブラシのケア」方法と、プラークコントロールの重要性をご紹介します。
歯ブラシには1000万個の細菌が潜んでいる
歯をケアすることの大切さは多くの人が認識していると思います。しかし、意外に世の中で 軽視されていると感じるのが、「歯ブラシのケア」です。歯の健康を守るために歯磨きをしていても、使った後の歯ブラシケアまでしっかり行っている人は少ないようです。じつは歯磨き後の歯ブラシには、約1000万個もの細菌が潜んでいると言われ、その数は家庭の生活排水に含まれる細菌の量に値します。
毎日、大量の細菌が付着している歯ブラシで歯磨きを続けていれば、当然口の中は不潔極まりないということになります。もし、歯周病患者の人が細菌まみれの歯ブラシで歯磨きを続けると、口の中の歯周病菌が一気に増加して症状が悪化してしまうという悪循環に陥ってしまうでしょう。
同じ歯ブラシを1ヶ月以上使い続けるのは自殺行為
とにかく、口の中を清潔に保つためにも、しっかりと歯ブラシをケアすることが大切です。だからこそ、歯ブラシを「殺菌」する必要があるのですが、じつは家庭でも簡単に殺菌できる方法があります。
歯ブラシのケアで大切なのは乾燥と紫外線による殺菌です。つまり、日光に当てることで紫外線殺菌が可能なのです。歯ブラシに紫外線を当てるには、紫外線量の多い午前10時から午後2時にベランダや窓際に置いて日光にさらすようにしましょう。毎日干すのが難しい人は、週に1度のペースで行ってもOKです。日中は出勤などで家にいないという人も多いでしょうから、週末に行えばいいのです。
ただし、歯ブラシを紫外線に当てる前に、歯ブラシをよく洗ってすすいだ後で、ティッシュなどで拭いてしっかりと水気を切って乾燥させることをお忘れなく。
また、歯ブラシの交換時期も重要です。歯ブラシを交換する目安は、だいたい1ヶ月程度です。たとえ見た目がボロボロに見えなくても、大量の細菌の繁殖が予想されます。そもそも、毎日歯磨きをするのは、口の中の細菌を減らすことを目的としているのです。細菌まみれのブラシで歯磨きをしていてはまったく意味がありません。また、毛先が開いた歯ブラシで歯を磨いた場合、新品の歯ブラシよりも歯垢除去率が40%程度も低下するといわれています。歯の健康のためには、歯ブラシのケアも不可欠。歯ブラシは細菌まみれだという認識をしっかり持ち、紫外線殺菌を心がけましょう。
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