多少のことは気にしない「鈍感さ」が不可欠


水晶 3つ目のキーワードは「勝たなくても負けない」です。これは「打たれ強く」と迷ったんですけど……。

 6月28日に火星が牡羊座に入って動かなくなりますから、火星の持っている攻撃力が刺激されそうですね。山羊座が“社会”という特徴を持っているのに対して、牡羊座は“個人”。だから社会に対して反発する人たちがあちこちに出てくると思われます。

水晶 そうそう。それが、人を勝ち目の少ない大きなものとの戦いへ向かわせていく、というようなイメージです。

 

 16歳の環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんや、日本では「れいわ新選組」代表の山本太郎さんのような人たちが、もっと出てくる可能性がありますよね。

 

水晶 そういう点では、私は香港の民主化デモも象徴的だなと感じていて。人権に対する戦いも、ホロスコープにはけっこう出ているんですよね。

 それが健全な形で出ればいいんですが、歪んだ形で出てしまうと、ちょっとしんどくなるかもしれない……。

水晶 私は、この「勝たなくても負けない」は、個人が持つべき精神としてとても大事になってくると思っているんです。2020年は思いもよらなかった出来事が起こって、ガーン!とショックを受けるようなこともあると思いますから。

 鈍感力が必要、ってことですね。

水晶 そう。2020年は冥王星が土星や木星と何度も絡むから、つい「終わった……」みたいに思ってしまうかもしれないけど、冥王星は“消滅と再生”の星なので、どんなことが起こっても必ずどこかに活路があるんです。また土星は“リアル”の星だから、現実的な活路を見出していくことがすごく重要になってくるし、さらに木星はそこに新たな正義と希望をもたらしてくれるはず。だからこそ、2020年はあまりナーバスになり過ぎないでほしいですね。

 身が持たないですしね(笑)。

水晶 繊細でナーバスであることには美しいイメージがあるかもしれないけど、2020年はそうではなく、どっしりと構えて「打たれ強く生きる!」と思っているほうが幸運は掴みやすいと思います。今まで信じてきたものがなくなっちゃった、みたいなことも起きるかもしれないけど、それに代わるものは探せば必ず見つかりますから。何事も「失敗したからっておしまいじゃない!」という精神で、恐れず向き合っていってほしいです。


相反するものを受け入れることで自由が生まれる

 

 今回、僕たちが挙げたキーワードは、一見、相反する言葉が多い印象があるかと思います。「伝統」と「自由」とか、「古いもの」と「科学」とか、「勝たなくても負けない」とか。実はこれこそが重要な点で、2020年以降は対立する存在を排除しない、ということもメッセージとして含まれているんです。

水晶 グレーを抱え込む、ということですよね。

 古い占星術の教科書を見ると、冥王星って「太陽と月を包含する」と書かれているんですよ。太陽と月って普通は二元的に分けられるものなんですが、陰と陽とか、邪悪なものと善なるものといった、両極をまとめて抱え込める器があるのが冥王星なのだそうです。

水晶 なるほど、さすが死と再生の星!

 だから、マクベスの「綺麗は汚い、汚いは綺麗」ではないですが、どちらかではなく両方受け入れていくことが大切。例えばアメリカのトランプ大統領を毛嫌いする人は多いけど、そもそも彼はある一定層の意見の拡大再生マシンみたいなものじゃないですか。ああいった声もたしかに存在しているんだ、ということもきちんと認めていくべき時に来ていると思うんですよね。

水晶 山羊座って本来は大人の星座だから、2020年は社会全体が、そういったグレーな形で成熟を目指すはずなんですよね。「あれはダメ」「これはダメ」ではなくて、「そういうこともあるよね」「いろんな人がいるんだ」という気持ちを大事にしてほしい。その先に、新しい「自由」が生まれると思いますから。
 

取材・文/山本奈緒子
構成/山崎恵

 


 

前回記事「【鏡リュウジ×水晶玉子対談】2020年開運キーワードは「骨格」「伝統」「自由へ」!」はこちら>>

 
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