「こうあらねばならない」というファッションからのひと休み

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ファッションサイトに寄稿しながら、初期のころから「化粧って必要?」とか的の外れたことを書かせてもらっています。いや、TPOによっては私もばっちり化粧もしますし、仕事上きちんとキメていくことが相手に舐められないうえでも重要だなということは感じています。それでも、ときに「浮かない格好」「これはNG」みたいなファッション記事を見ると、どうしても余計なおせっかいだなぁと感じます。

 

シンガポールに来て、気が付いたことがあります。それは日本にいたときにはあまり見ない組み合わせの女性同士が仲良くしていること。どういうことかというと…。おしゃれで、キラキラしていてファッション誌にでてきそうな人と、ほぼすっぴんで眼鏡、ただのTシャツ短パンの人(私はこちら側)が、よく一緒にいるのです。

シンガポールに来てこのような組み合わせを見たときに、珍しいなという印象を抱いてはじめて気が付いたのですが、日本では、なんとなく同じような系統の服装をしている人たちで集まりやすい、あるいは仲良しグループの服装は似たような系統に落ち着いていく感じがあると思います。

中高生のスクールカーストではありませんが、「この人似た匂いを感じるな」とか、「この人とは仲良くなれそうな気がしない」というのを、人は意外と見た目、特に服装で判断しているところがあると思います。裏を返せば、TPOに応じて、その集団からあまり外れないような服装ルールが形成されていくということかもしれません。

シンガポールでは、そもそも人種や文化が多様な人たちがいるのでファッションルールというものがあまりないように感じます。そしてここに住む日本人は、日本人の中の多様性もありつつ、シンガポールの社会の中ではマイノリティで共通の話題や悩みも多いからか、服装がだいぶ違う人同士でも分かり合えるということが起こりやすいのかもしれません。

もちろん中には日本人コミュニティ中心で動き、同じような服装をしているグループもあると思いますが、日本にいる時より何を着ていてもとやかく言われないし、メジャーなファッション誌みたいなものもないゆえに、みんな自分がしたい格好をしているのではないでしょうか。おしゃれしたい人は思いっきりしていて、それもそれで「気合い入ってるね」とか余計なことを言われることはありません。どこかで浮かないようにとか、ばっちりコーディネートしていないと恥ずかしいとか、そういう呪縛からは海外にいるとどんどん解き放たれていきます。

好きなように、生きたらいいと思うんです。おしゃれするにしろ、しないにしろ、こうあらねばならないという規範からはひと休みできる、そのようなコラムをこれからも書いていきたいです。

前回記事「“休む”ってとってもチャーミングな女性になること」はこちら>>