結局、壁を壊せなかったせいか、金庫は持ち去られることなく中身はそのまま。ただ、エルメスのバッグ、ベルト、ブレスレットはすべて、シャネルのスーツやジャケットも全部持って行かれました。
ここで注目は、他のブランドもある中から、エルメスやシャネルを選りすぐって持って行かれたということです。
まるでどこに何が置いてあるのか、すでに知っているような状況でした。
その後に分かった事は、私のアパートメントでは強盗事件が相次いでいて、ここ2週間でこれが3軒目だったこと。後ろに建つアパートメントでも、泥棒に入られた時に部屋にいた老人が暴行され、意識不明の重体であるということも。
普段パリを離れていて、留守にしていることが多い友達がいるのですが、私が事件を報告した2日後に彼女の家にも、泥棒が入ろうとしたとのこと。隣の家の犬の鳴き声を聞き、逃走したようです。
昨年12月、パリ16区に住む友達に会った時に「ここでは軒並み泥棒が入り込んでいる」と言われたのにも関わらず、用心していなかった私です。
春節でロンドンに帰国したところ、コロナウイルスの影響で北京に帰れなくなったイギリス人の友人家族を、ディナーに招待したときのこと。「なぜこの家を買ったのか」という話になった際、「フランスの国会議事堂のすぐ横、後ろは陸軍省。こんなに警察に囲まれた場所はない」と豪語していた私です。
今回の事件で、私が学んだことは、数人以上の死者が出るような事件でない限り、警察は何もやってくれないということ。
事件の後で最寄りの警察署に行って正式な書類を作成してもらうと、「これをあなたの保険会社に提出してください」で、おしまい。“グッドラック!”という感じです。泥棒を捕まえるような捜査はなしです。
その後は個人向けのセキュリティ会社に連絡して、もっと厳重な防犯システムを導入し、自分の身と財産は自分で守ることにしました。
何よりも万全な備えが必要、ということです。コロナウイルスも含めて
「まさか私が!」という事が、自分自身にも起きるのだということを、忘れてはならないのです。
前回記事「1月末から、暖冬のニューヨークに来ています」はこちら>>
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