チャラ男って本当にどこにでもいるんです。一定の確率で必ず。

このキャッチコピーと、『御社のチャラ男』というタイトルにグッと心を掴まれてしまいました。
『イッツ・オンリー・トーク』『沖で待つ』で知られる小説家、絲山秋子さんの新刊『御社のチャラ男』は、「新世紀最高の会社員小説」として今、話題を集めています。

ビジネスシーンで使われる大真面目な単語「御社」と、その対極にあるような不真面目さを放つ「チャラ男」を組み合わせた絶妙なタイトル名を聞くだけで、会社員同士が互いを茶化しつつ労り合っている姿が目に浮かび、一瞬にして「あ〜、わかる〜」と仲間意識が湧いてしまいました。

小説『御社のチャラ男』から見える、「現代で会社員する」難しさ_img0
 

物語の舞台となるのは、地方都市にある中小企業「ジョルジュ食品」。そこで同僚たちから密かに「チャラ男」と呼ばれているのが、三芳部長です。
40歳を過ぎたくらいの三芳部長はアメリカ留学の経験があり、都内勤務を経てジョルジュ食品にやって来た洒落者で、田舎では珍しいタイプ。
しかし、縁故入社したジョルジュ食品ですぐ部長職に就いたにもかかわらず、仕事内容はイマイチはっきりしません。大した業績を上げるわけでもなく、席替えやら人事異動ばかりする謎の管理職者かつ、モラハラ発言も多数で、決して上司の鏡とは言えない状態です。
そんな三芳部長を、周囲の人間が「チャラ男」として考察することで話が進んでいくのですが、読後は思わぬ場所に連れて行かれました。

 
 
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