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知っておきたい質の良い睡眠の基本「睡眠不足ワースト1はどこの国の女性?」

 

「日本人の睡眠時間は世界でワースト1」。しかも40代女性はさらに低いという調査結果を聞き、他人事とは思えない睡眠事情。仕事もおもしろくなってきた一方で、子育ても頑張り時の40代。ON・OFF問わず全力投球もいいけれど、その代わり睡眠時間がどんどん削られていく。この現状に「待った!」をかけたのが、スタンフォード大学医学部精神科教授の西野精治先生。「現代人は頑張りすぎ。寝ることも同じくらい必要なんです」と現代人に必要な睡眠の大切さと質の良い睡眠を取る方法を教えていただきました。あなたの睡眠事情をもう一度、考えてみませんか?

 


世界で最も睡眠時間が短いのは日本人

 

西野精治先生 スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠生体リズム研究所(SCNL)所長。 大阪市生まれ。大阪医科大学卒業。睡眠・覚醒のメカニズムを分子・遺伝子レベルでから個体レベルに至るまで幅広い視野で研究。日本と米国を行き来しながら取材や講演をこなす。『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版)は30万部を超えるベストセラーに。“働く女性の最強の眠り方”をまんがでわかりやすく描いた『マンガでぐっすり! スタンフォード式最高の睡眠』(サンマーク出版)も好評発売中。

「日本人の睡眠時間をご存知ですか? 答えは、平均7.36時間で世界ワースト1。さらに驚くことに40代日本人女性の睡眠時間は6時間以下という調査結果が出たんです」と話すのは、睡眠研究を専門分野にしているスタンフォード大学医学部精神科教授の西野精治先生。

「最近、睡眠の大切さがメディアでも取り上げられるようになりましたが、以前の睡眠研究といえば脳波を調べることが主流でした。1929年、ドイツの神経科学者のハンス・ベルガーは脳に電気活動(脳波)が起こっていることを学会で発表したのですが、最初は『脳の活動が電気シグナルなんて、バカげている』と信じてもらえませんでした。その後、就寝中にも脳波を記録するようになり、1950年代のレム睡眠の発見に繋がるのですが、レム睡眠中でも脳は起きている時と同じように活発に動いていて、夢をみていることがわかり、近代の睡眠研究が始まったのです。

睡眠というと『部屋を暗くして、音を遮断すれば人は眠れる』と、受動的なことだと考えられていました。でも、そんな単純なものではないんですよね。研究を進めていくと、脳の一部分を破壊すると眠ることができる、ということがわかったのです。つまり、脳の活動によって起きたり、寝たりすることができているわけで、睡眠は自発的なものだったのです。
そこに興味を抱いたのが神経科学者。寝ている間に脳が活動している=記憶や神経活動にも関連があると想定し、睡眠と脳(記憶)の関係性を立証する研究などが盛んになったのです」(西野先生)。


睡眠のメカニズム、大事なのは「リズム」

「ここで『睡眠のメカニズム』についておさらいをしておきましょう。良い睡眠のパターンを簡単に話すと、最初に深い睡眠【ノンレム睡眠(脳も体も休息している状態)】がやってきます。個人差はありますが90分ほど続きます。その後、短い【レム睡眠(脳は活動、体は休息している状態)】が出て、明け方まで【ノンレム睡眠】【レム睡眠】を4〜5回繰り返します。明け方になるにつれレム睡眠の時間が長くなり、自然と目覚める仕組みになっています。

睡眠のカギはこの『リズム』なんです。ですが、この健康なリズムを毎日、同じような状態で刻んでいくことは現代人ではなかなか難しいのです。些細なことで睡眠障害を誘発し、健康な睡眠のリズムが崩れてしまうからです。加齢や生活習慣の変化、ストレスなどでもリズムが崩れてしまうんですよ。睡眠はとても繊細なものなのです」。