【フィギュア】日本のメダル濃厚な男子シングル。世界ジュニア2020の注目選手は?_img0
写真:Raniero Corbelletti/アフロ
【フィギュア】日本のメダル濃厚な男子シングル。世界ジュニア2020の注目選手は?_img1
写真:エンリコ/アフロスポーツ

元気いっぱいのイタリア勢ふたり、すでに4回転ルッツを装備し、5回転ジャンプの成功をも目論むダニエル・グラスル選手(上)と、今年の欧州選手権で13位に入ったガブリエレ・フランジパーニ選手(下)。グラスル選手は、シニアの世界選手権にも出場予定。フランジパーニ選手は、昨年の世界ジュニアでは23位だったけれど、今年はもっと順位を上げてきそうです。

 

その国ならではの香気をまとった選手たち、
それぞれを愛でるのが最高のエンタメ


そして、ここのところ進境著しいイタリア男子2人、前述のダニエル・グラスル選手、17歳と、彼と同じコーチのもとで切磋琢磨しているガブリエレ・フランジパーニ選手、18歳。

今大会も、表彰台を狙って4回転ルッツを跳んできそうなグラスル選手には、“高難度ジャンプを跳ばずとも”という形容はもはや当てはまりません。
“5回転ジャンプを成功させるのが目標”とニコニコしながら本気度マックスで語る彼は、そんな心意気を体中からほとばしらせながら繰り出すジャンプと、“体勢、どうなってるの?”と思わせる独創的なスピンで魅せてくれるはず。

一方のフランジパーニ選手、プログラムにはトリプルアクセルまでしか組み込んでいないけれど、ボディスーツ的衣装に身を包み、不思議な音や編曲を物ともせず、演じ切ってしまう表現力が向上中。振付は、グラスル選手もそうだけれど、彼もまた前述のブノワ・リショーさん。今季のショート、ジェイコブ・バンクスの渋い歌声にのせた「Unholy War」は、難しそうな上半身の使い方、右手の動き、ステップなど、その独特な振付が彼にぴたりとハマっている感じです。


世界的なレベルの選手がひとり出るだけで、その国の状況が大きく変わると言われるが、シニアのマッテオ・リッツォ選手を含む、このイタリア男子の活況は、やはりカロリーナ・コストナーさんの功績なのでしょうか。

フランジパーニ選手のホームタウンも、彼女の出身地であるイタリア北部のボルツァーノとあります。コンビニのようなショップにもフィギュアスケート雑誌が並んでいる土地柄と、なによりライバルの存在が彼らを後押ししていくはず。
 

ほかにもアレクサンデル・マヨロフ選手の9歳年下の弟、スウェーデンのニコライ・マヨロフ選手など、まだまだ観てほしい欧州勢はいるけれど、最後にもうひとりだけ。伝統国復活を期待させるイギリスのエドワード・アップルビー選手、15歳。

姉も弟も選手というフィギュアスケート一家の長男で、この年齢にして、すでに身長が175cm! まだ、魅せるところまではいっていないし、今大会で上位に食い込むのは難しいかもしれないけれど、すでにトリプルアクセルや、3回転ルッツのコンビネーションを組み込んでいて、4回転ジャンプ装備もそう遠くないのでは、と予感させます。

イギリスといえば、最近、伝記映画が日本でも公開されたジョン・カリーに、レークプラシッド五輪で金メダルを獲得したロビン・カズンズ、そして、いまも語り継がれる伝説の「ボレロ」を滑ったアイスダンスのトーヴィル&ディーン組らを輩出してきたかつての強豪国。最近では、アイスダンスのライラ・フィアー&ルイス・ギブソン組という氷上をダンスフロアにしてしまうカップルも登場(昨シーズンのフリーダンス、ディスコメドレーは最高でした!)していて、復活の兆しあり。アジアにはアジアの、北米には北米の、そして欧州には欧州ならではのスタイル、香りのようなものがあって、欲張りな愛好家としては、そのどれをも愛でたい。それには、欧州シングル勢のこれからを担うジュニアスケーターに期待せずにはいられません。とにもかくにも、出場選手はじめ、大会に関わるすべての人たちが無事に終えられますように!

大会概要:3月4日(水)~8日(日)
エストニア タリン トンディラバアイスホール

テレビ放送予定:3月8日(日)深夜1時55分~3時25分 フジテレビ
3月4日(水)~8日(日)FODプレミアム(エキシビション含む全種目ライブ配信)
3月12日(木)~18日(水)J SPORTS 4(エキシビション含む全種目放送)

文/齋藤優子
構成/藤本容子

 

前回記事「全日本で爆発! 羽生選手の10歳下、鍵山優真選手の総合芸術!」はこちら>>