女性誌を中心にフードライターとして活躍しつつ、実はフィギュアスケートの記事も担当している齋藤優子さん。羽生結弦選手や小塚崇彦さんにインタビューしたことも。最近では、坂本花織選手、友野一希選手などにも取材済み。5年振りの母国開催となった今年のフィギュアスケート世界選手権、男子シングルについて熱も冷めやらぬうちに、たっぷり振り返ってもらいました。
SPと見事に2本そろえて、最高難度!
パーフェクトだったネイサン
プレッシャーなんてどこ吹く風、なんだか、のびのび滑っていましたね。
22日のフリースケーティング(FS)、直前に羽生結弦選手が気迫あふれる演技で300点越えしたのもなんのその、パーフェクトな演技で323.42点を叩き出し、世界選手権連覇を成し遂げたアメリカのネイサン・チェン選手。
羽生選手でさえ、ジャンプに少し乱れが出て、パーフェクトというのは難しいもんだなぁ、と観ていたところに、最高難度の構成で見事にパーフェクト。SPと2本そろえて完全優勝。
もはや勝負というより、最高のプログラムを演じることにこだわっていたように見えました。自分が用意できる最高の素材(技術)は用意した、あとはこれをいかにおいしく料理して(芸術性を高めて)、最高のひと皿(プログラム)に仕立てるか、という新たな境地に突入したのかもしれません。
最初のひと皿、4.76という加点がつく4回転ルッツジャンプからゴージャスでした。
今回はネイサン選手のほか、3位に入ったヴィンセント・ジョウ選手、ショートプログラムで2位につけたジェイソン・ブラウン選手と、アメリカの3選手は、全員がFSの最終グループに入りました。来季は、世界ジュニアで優勝した樋渡知樹選手(米国)もシニアにあがって、アメリカ男子はますます勢いを増して面白くなりそうな気配。
日本勢は、羽生選手の2位に続き、宇野昌磨選手は4位、田中刑事選手は14位だった。せっかくの地元開催が逆に気負いになってしまったのか。順位なんて気にせず、もっと、アメリカ男子のようにのびのびと滑ってほしかったなぁ。
羽生選手は、足の状態をみながら、4回転アクセルに挑戦していくのだろうけれど、個人的には“史上初の4回転アクセル”のロマンを追うより、無理せず、いまあるジャンプの完成度を高めていってほしい派です。そして、宇野選手には、来季こそ、SP、FSどちらでもいいから、新たな振付師と組んで、いままでとはまた違う、新たな側面を見せてほしいと切望。
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