子どもが自分でやりたいと言い出したのに、途中でやる気を失ってしまったら、親はどう対応するべきなのでしょうか? そして「やめてもいい」と伝えるほど、頑なにやめようとしない、その心理とは。心理学者の齊藤勇先生がアドバイスをくださいました。
 

 

kommori-aさんからの質問

Q. 自ら希望した中学受験にやる気を見せなくなった娘。続けさせるべきか、夫婦で意見が割れています。


11歳になる一人娘がおります。私たち夫婦は共働きながら、両方の両親が遠方にいて助けを借りられないため、娘の成長を一番に考えた働き方を夫婦で相談しながら生活してきました。世間で言われる「ワンオペ育児」ではなく、夫が協力してくれていることに感謝しています。娘は一人っ子で甘えたがりですが、何でも家族で話し合い子供扱いせず育ててきたせいか、同じ年の子たちよりしっかりしていて、大人にも自分の意見を伝えられる子に育っています。中学受験を考えるタイミングで、家族で話し合い娘の希望どおり入塾させ、中学受験を目指すことになりました。とはいえ娘は、自分を律して勉強に取り組むには精神的にまだまだなので、予定を立てたり、声掛けをしたりとサポートをしながら進めてきましたが、受験まであと一年と迫ってきたあたりから本人のやる気が感じられず、成績も落ちていく一方になりました。

娘には嫌なら辞めてもよいこと、本人にとって勉強に打ち込める時期は今ではないのではないかといったことなど、その都度話し合いをしてきましたが、本人は頑なにやめようとしません。いつもやるべきことから逃げているように感じるため、テストのたびに家庭内の雰囲気は悪くなり、温和な夫も厳しく諭す場面も多くなってきました。親としては本人からのアクションがあるまでじっと見守るべきなのか、ある程度で線を引いて中学受験をやめるべきなのか悩んでいます。私は、たとえ失敗しても親が途中でやめさせることは娘の気づきや学びを奪うのではないかと思っているのですが、夫は最後のジャッジは親がするべきだと言っており、夫婦間でも意見が割れています。(45歳)
 

A. 大事なのは子供に決めさせること。親がジャッジすることはお勧めしません。


おそらく、娘さん自身はもう受験を止めていると思います。しっかりしているとは言っても、まだ小学生。自ら中学受験を希望したものの、いざ取り組んでみたら受かりそうにない。だから止めたくなった、というのが本音ではないでしょうか。でも両親は一生懸命自分をサポートしてくれたし、口では「やめていい」と言っていても本音では頑張ってほしいと思っているのが伝わってくる。娘さんとしては親をがっかりさせたくなくて、とりあえず「やめない」と言っているだけなのだと思います。

 

だから「やめてもいいよ」「嫌だ、やる」のやり取りで、そのまま放っておけばいいのではないでしょうか。そうすればそのうち、「やめる」と自分から伝えてくると思いますよ。中学なら受験しなくてもそのまま公立に進学できますし、あまりゴタゴタしないほうが、娘さんのためにもいいと思います。

たしかに子供のすることに関して口を出さない、というのは難しいことです。でも、余程のことでない限りはできるだけ子供に決めさせてあげてください。そして子供が決めたことは受け入れる。そうは言ってもまだ小学生だし……、という気持ちももちろんあるでしょう。だからこそ、話し合うことも大事です。

しっかりした娘さんのようですから、ご両親の期待も大きかったのでしょう。それだけに受験を諦めさせたくないとの思いもあるのでしょうが、「親がジャッジするべきだ」という一言が、私は気になりました。子供も一人の人間です。選択する権利もあれば、決める能力もある。そのことを心の片隅に留めておいてほしいと思います。
 

PROFILE
  • 齊藤勇心理学者、立正大学心理学部名誉教授。専門は対人心理学と恋愛心理学。分かりやすい講義が人気で、『笑っていいとも!』(フジテレビ)や『それいけ!ココロジー』(読売テレビ)など多数のテレビにも出演していた。著書は100冊以上。『悪用禁止!思いのままに人をあやつる心理学大全』(宝島社新書)、『イラストレート人間関係の心理学』(誠信書房)、『相槌のコツ』(文響社)など近著も多数。 この人の回答一覧を見る
  • 山本 奈緒子1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『FRaU』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る
 取材・文/山本奈緒子

 

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