挑戦を厭わない心を育てるには?


では、どうすれば子どもはチャレンジ精神を身につけるのでしょうか。中野先生はこんなヒントをくれました。

失敗を恐れるのは「褒められた子」。脳科学者が語る「褒めて育てる」危険_img0
 

「たしかに褒める教育で育てられたはずの若い世代は、もっと自信を持って積極的に困難に挑戦する人が出てきてもよさそうなものなのに、かえって慎重になり、上のどの世代よりも保守的になっているように見えることすらあります。
(中略)褒め方には注意が必要で、その子のもともとの性質ではなく、その努力や時間の使い方、工夫に着目して評価することが、挑戦することを厭わない心を育て、望ましい結果を引き出す、と研究チームは結論づけています」

挑戦をした子どもの姿をしっかりと受け止め、その努力を認めてあげること。手放しに何でも褒めるのは簡単ですが、子どもの工夫を発見するには、親側も努力が必要です。
しかし、そんな親の眼差しこそが、子どもをたくましくするのかもしれない……。中野先生の言葉からそんなことを感じたのでした。

 

 

失敗を恐れるのは「褒められた子」。脳科学者が語る「褒めて育てる」危険_img1
 

『空気を読む脳』
著者:中野信子(講談社+α新書/860円+税)


過剰なまでの不倫バッシングや同調圧力、ブランド信仰……。現代を生きる私たちが日頃感じているちょっとした生きづらさや窮屈さを、脳科学者の中野信子さんが“日本人の脳”にフォーカスを当てて解説。最近なにかとモヤモヤが止まらないあなたにおすすめです。


構成/小泉なつみ