アマゾンは一部の商品を除いて、アマゾン本体が直接、販売を行っています。アマゾンから見れば、商品を購入する利用者が直接的な顧客と考えてよいでしょう。一方、楽天はアマゾンとは異なる同じ仕組みを採用しています。楽天市場では、自社販売する一部商品を除き、商品の販売は楽天本体ではなく、楽天市場に出店している出店者が行っています。

2020年2月、楽天の2019年12月期決算発表にて説明する三木谷浩史社長。写真:ZUMA Press/アフロ

では楽天本体はどのようにして儲けているのかというと、出店者から出店料というお金を取っており、これが同社の主な収益源となっています。楽天から見ると直接的な顧客は私たち利用者ではなく、出店者ということになります。楽天は、いわば場所貸しのビジネスですから、百貨店や不動産業に近いと思った方がよいでしょう。
 
例えばデパ地下にはたくさんのお総菜屋さんが軒を連ねていますが、これらのお店は百貨店を運営している会社とは別の会社です。お総菜屋さん各社は、百貨店に出店料を支払ってデパ地下に出店しているだけですから、楽天と出店者の関係にかなり近いと思って差し支えありません。

アマゾンはほぼすべての商品についてアマゾンが責任を持って在庫を管理しているので、買う前の段階から、いつ商品が到着するのか利用者は事前に知ることができます。一方、楽天では、商品の販売管理は出店者に任せているため、アマゾンのように、すべての商品について在庫や到着日時が表示されるとは限りません。お店によっては出荷の日時を明言するところもありますが、いつ出荷するのか、購入後も分からないケースもあるわけです。

アマゾンから買い物をする時には、私たちはアマゾンが売り手と考えてよいのですが、楽天の場合には、それぞれの出店者から買っているということについて、しっかり認識しておく必要があるでしょう。

楽天では、何をいくらで売るのか、送料はどうするのかについても、出店者に一任していましたが、楽天が一方的に送料を負担するよう出店者に要請したことから、今回のトラブルが発生してしまいました。出店者の中には体力が弱い中小企業も多いですから、送料を強制的に負担させられてしまうと、経営が立ち行かなくなるところもあり、公取委もこの点を問題視しているようです。

とりあえず楽天は、一律の送料無料化は延期しましたから、しばらくは、送料をめぐる複数のパターンが混在することになりそうです。
 

前回記事「こんな時だからこそ、「おかしい」と思うことには声を上げなくてはいけない」はこちら>>

 
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