新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府は小中高の一斉休校を決断しました。効果的な施策ではありますが、シングルマザー世帯などの状況を考慮していなかったことから現場は一時、大混乱となりました。また、会社によっては無給での自宅待機を求められたり、実質的な解雇や雇い止めも発生しているようです。
「一億層中流」という言葉に代表されるように、日本では多くの国民が、同一のライフスタイルを送っているとの幻想を持つ人が多く、非常時の対策にもそうした価値観が色濃く反映されています。この問題を根本的に解決するには時間がかかりますが、一方で、世論の声に押されて政府が動いたケースもたくさんあります。今は非常時ですから、「おかしい」と思うことがあれば、とにかく声を上げて、状況を広く知らせることが大事でしょう。
政府は2020年2月27日、新型コロナウイルスによる感染拡大を防止するため、全国の小中学校や高校などに対して一斉休校を要請しました。
本来であれば、感染拡大の状況を見て地域ごとに判断するのがベストですが、日本の場合、新型コロナウイルスの検査態勢が諸外国と比較して十分ではなく、そもそも全国にどの程度の感染者がいるのかという基礎的な疫学データが存在していません。このため、科学的なアプローチで休校措置の段階を決めることができず、実質的に一斉休校しか選択肢がなかったと考えられます。
しかも政府は、この施策によって家庭や学校にどのような影響が及ぶのか検討せず、見切り発車してしまったようで、現場では混乱が続いています。
北海道のある病院では、学校の一斉休校の影響で職員の2割が出勤できなくなり、2月28日から予約外の外来患者の診療を原則停止しています。病院には看護師ら700名の医療スタッフが在籍していますが、このうち約170名が小中学生の子どもを持っているそうです。このため、同病院では介護士の再配置を行う必要に迫られており、外来患者の診療に影響が出る結果となりました。
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