――今は、なんとかもちこたえなくてはならない時期ですね……。各国、株価が乱高下していますが、コロナショックがここまで株価に影響すると事前に想定していたお金のプロはいるのでしょうか?

 

山崎:ごく一部いたのかもしれませんが、プロでも予想がつかなかったほどの大きな下げですね。新型コロナウイルスの報道が出たときには、過去のSARSのときのように、比較的早く事態が収束するのではないか、という雰囲気でしたから。

アメリカ経済は少しバブルだったといっても、コロナが問題になる前は私はまだまだバブルがつぶれることはないと思っていました。経営者にとっては、お金を借りて株を買い、株価を上げることは都合のいい話ですし、金融機関にも、投資をしている人にも、みんなに都合がいい。バブルだとはわかっていても、まだ終わらないと思っていました。

ところがコロナショックがきっかけとなったこの3週間ほど、崩壊しはじめています。プロにとっても想定外なことが起こるのが、金融の世界です。
 

――日本については、どのように見られていますか?

山崎:日本企業は、現金を抱えて、経営効率が悪くて、株主還元が不足しているなんて、投資をする立場からは言われがちですけど、逆に手元の現金が潤沢なので、このようなピンチでも持ちこたえられる時間が長い。企業がつぶれることを、何か月か防げる可能性があることも事実です。

実際、自社株買いをする企業のニュースも見かけます。それだけお金がまだ残っているという意味でもあります。

 

――オリンピックも延期になりました。中止ではないですが、経済が上向くイメージがなかなか沸かないです……。

山崎:中止になれば景気としては大きな悪材料でしたが、延期なら、将来にお金を使い、お金が入ってくる時期が先延ばしになったわけですから、今年の損害分はあるとしても、マイナスだけではありません。

また外国でも、外出禁止や集会禁止などを行っていますが、永遠に続けるわけではなく、2週間や3週間などと期限を決めて、効果を見ながら対策を考えていくのだと思います。

日本でも、もし「外出は3か月間一切禁止、お店は休業」なんてことになれば、コロナで死亡する人数よりも、お店の人が自殺してしまう人数が増えてしまいます。そんなことになれば大変ですから、政府はバランスを考えていくはずです。

飲食店や旅行やホテルなど、外出の自粛によって苦しい業界も多くありますが、仮にホテルがつぶれた場合、投げ売りされて、安くなったところを買う人はいます。悪い局面でも、それをチャンスだと思う人は必ず現れるので、意外と経済そのものはしぶといんですよ。
 

撮影/山本遼
取材・文/西山美紀
構成/片岡千晶(編集部)


 

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