コロナショックによる経済危機。連日株価が大きく下がるニュースを目にして「これからどうなる?」「投資は今後どうしたらいい?」と不安な方も多いでしょう。
そこで今回ミモレは専門家に緊急取材。経済評論家の山崎元さんのもとを訪れました。マネーコラムニストの西山美紀と編集部の片岡がお話をじっくり伺います。
<今回お話を伺ったのは……>
山崎元さん
経済評論家。専門は資産運用。楽天証券経済研究所客員研究員。マイベンチマーク代表取締役。1958年北海道生まれ。東京大学経済学部卒業後、三菱商事、野村投信、メリルリンチ証券など12回の転職を経て、現職。雑誌連載、テレビ出演等で活躍中。著書に『マンガでわかるシンプルで正しいお金の増やし方』(講談社)、『お金で損しないシンプルな真実』(朝日新聞出版)等多数。
過去を紐解いても暴落は10年に一度はやってくる
――投資を始めたばかりの人、これから投資をしようと思っている人は、今回のコロナショックで足がすくんでいる人も多く……。アドバイスをいただけますでしょうか。
山崎元さん(以下敬称略):リーマンショックの年の2008年12月に出した私の著書『超簡単 お金の運用術』(朝日新書)にも、「生涯に何度もないチャンスなのだから投資しましょう」と書いていますが、手荒な目にあって投資が嫌になっている人も多いかもしれないです。しかし暴落のタイミングは、やはり投資のよいタイミングなんですよね。
リーマンショックでも市場が大混乱でしたが、中央銀行がお金を供給し、財政支出を行ったことで危機を脱出できました。株価は3、4年ほどで元に戻ったという経緯があります。
株価の乱高下に怖くなって、持っていた株をすべて売ってしまったり、せっかく積立投資をしていたのに辞めてしまったりということは、避けたいですね。
――私自身(西山)もリーマンショックのときに、大きな下げに怖くなり、株を売ったことを反省した経験があります(苦笑)。過去の相場を見ても、大きな波がありますね。
山崎:ええ、10年に一度は、大暴落があります。日本なら80年代のバブルが90年にはじけて、97年には山一證券がつぶれました。アメリカの株価も2000年にネットバブルがはじけました。
その後、金融緩和政策で景気の後押しをしているうちに米国の不動産がバブルとなり、2008年にはリーマンショックが起こりました。それを乗り越え、世界としては好景気という状況だったのが、今回のコロナショックに直面しているわけです。
投資をする際には「山谷があるものだ」と思うことが大切。積み立ての初期の方なら、安い株価で積み立てができることは、むしろ好材料です。たくさん投資した段階で、大きく下げて資産が減るよりも、投資初期の段階で、暴落を経験するということは、むしろよいことなのではないか、と思います。
株価は、その時の経済状況と、今後の経済活動の見通しを含めて形成されるので、今大きく下がっている株価は、コロナ問題の影響を反映したものなので、今投資を止めるには及びません。
――とはいえ、投資を始めたばかりの人は、「失敗した」と思っている人も多いかもしれません。
山崎:初心者なら、投資している金額はまだそれほど大きくないでしょうから、あまり痛手ではないと思いましょう。特に積立投資をしている人は、少額ずつ投資をしているから、累計投資金額はまだそれほど大きくないはずです。
ここで考えてみてほしいのは、長期投資で考えている人は、例えば20年後の株価はどんなふうに決まるのか、ということ。20年後の経済とその企業の業績で決まるわけですよね。その株価に向けて、高い金額から投資するより、低い金額から投資をした方が有利です。言わば発射台が低い方がリターンは高くなる理屈です。
ですから、投資を始めた人にはむしろ、相場が大きく下がっている時期は投資のチャンスだといえます。
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