グローバルサプライチェーンを総動員したマスクの提供


LVMHは中国から1000万枚のマスクを調達し、今後も調達を続け計4000万枚のマスクをフランス政府に寄付する予定です。
CHANELはすでに5万枚のマスクを医療機関に寄付し、自身の生産ラインを使ってマスクの製造を行っています。

グッチ(GUCCI)、サンローラン(Saint Laurent)、バレンシアガ(BALENCIAGA)などを保有するケリング・グループ(kering Group)は300万枚の医療用マスクを中国から輸入し、フランスの医療機関に提供しています。
グッチはイタリアに医療用防護服とマスクの寄付を決定し、サンローラン、バレンシアガは自社生産ラインを利用したマスクの製造を準備して、フランスの医療機関へ寄付する予定です。


ブルガリ(Bulgari)はイタリアの医療研究機関に対して多額の寄付を行い、寄付金はコロナウイルスの研究費用に当てられました。自社のコスメ用品と香水の生産ラインで、アルコール消毒ジェルを生産し、それらをすべてイタリアの市民保護団体に寄付しています。
ラルフローレン(Ralph Lauren)はアメリカの国内で25万枚のマスクと2万5000着の医療用防護服を生産開始しました。
バーバリー(Burberry)はトレンチコート生産ラインをマスクと医療用防護服の製造へと転換、グローバルサプライチェーンを使ってマスク10万枚の寄付をイギリス医療機関へ寄付し、さらにオックスフォード大学での新型コロナウイルスのワクチン作成の研究もサポートしています。
プラダ(PRADA)アルマーニ(Giorgio Armani)もイタリアの医療従事者に対して、 医療用防護服とマスクの生産を開始しました。


悲報も聞こえる中、私たちできることは


イタリアの高級靴ブランドSergio Rossiの創業者のセルジオ・ロッシ氏が新型コロナウイルスに感染し、4月2日に亡くなりました。同ブランドはすでに10万ユーロ(約1,170万円)と、一定期間の売上利益の100%をイタリアの医療機関に寄付するキャンペーンを行っていました。
他にも多数のブランドがマスクと医療用防護服の生産、提供を行っています。

通常、寄付や支援は緊急事態の影響を受けていないところから施されるのが普通です。日本が東日本大震災を経験した際には多額の寄付と支援が世界各国から施されました。しかし、今回紹介したブランドは自身も突如として大幅な売り上げを失い、ロックダウンされた都市の中心で感染症の恐怖にさらされ、従業員の雇用もギリギリのところで守りながら医療現場への支援を行っています。
そして、これらのブランドを動かしているのは人です。
4月6日現在、まだ現状の回復の目処はたたず、医療現場が悲鳴を上げている現状に、もし自分がコロナを発症したら病院に行っても助からないのではないか?という不安を全員が抱えながらも、人類の生存をかけた戦いをしています。

フランスのマクロン大統領は、全国ロックダウンを全国民に宣言する演説で「我々はウイルスとの戦争状態にある」と繰り返し強調し、その戦いに勝利するためには「他人と接触しない」という制約を受け入れることを、一致団結して行う必要があると述べました。

フランスでは、ほぼ全ての企業が日中リモートワークで働き、毎日夜8時には、国民全員がベランダに出て医療従業者に向けて盛大な拍手と声援を送っています。

パリでは毎日20時に国民がベランダに出て医療従事者へ拍手をおくっています。

一致団結して、他人と接触しない制約を受け入れる。そして、その条件下で経済活動が止まらない方法を考えるという、とても難易度の高い課題が、今人類に課せられており、その答えをまだ我々は誰も知りません。
この極限状態の中で、その課題に対する答えを必死に見つけようとする人々の姿がこの街にはあります。これこそが今、私たちにできることではないでしょうか?

前回記事「緊急事態宣言へ。新型コロナ重症化リスクのある5つの持病」はこちら>>

 
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