――お金が入ってくるからこそ、使えるのですよね。
山崎:もちろんそうです。そして次は、「計画的にお金を貯めること」を考えたい。稼いだお金を「今使うお金」と「将来使うお金」に振り分けるのです。
金融商品の広告で「人生100年時代。寿命よりも資産寿命が短かったら大変です! 資産寿命をのばすために運用しましょう」といった構成のものを見かけますが、私はそれは違うと思うのです。
資産寿命をのばすには、運用が第一ではなく、まずは「計画的に貯蓄し、計画的に取り崩すこと」を考えるべきです。もちろん、お金はなるべく増えればいいので、貯まっているお金を効率的だと思われる場所に置くことも大切ですし、自分がしっかり稼ぐことも大切です。それらをトータルで考えていただきたいと思います。
――お金とは一生の付き合いなので、自分の身の丈にあわせて考えたいですね。
山崎:はい、そう考えると、一番目に大切なのは「どのように働いて、どう稼ぐか」。二番目に「計画的にお金を貯めて、計画的に使うこと」。三番目が「不動産で失敗しないこと」。家を買うことは、自宅であっても不動産投資だととらえて、しっかり考えたいですね。
四番目が「無駄な生命保険に入らないこと」。生命保険は、最小限でいい。入りすぎて無駄なお金を払っている人が多いと感じます。そして五番目に「お金をうまく運用すること」がくるでしょうか。
もちろん、運用では、悪いセールスマンにひっかかって失敗してしまうと被害額が大きいので、しっかり調べて、自分が納得した上で、感情に振りまわされずに淡々と行うことが大事です。
――「お金を使うこと」についてもアドバイスをいただけますか?
山崎:経済学の言葉で“地位財”というものがあります。自分のステータスを表すような、高級な腕時計や高い車、不動産などがあげられます。
例えば、100坪の家に住んでいたら、まあまあ広いと思いますよね。ところが、まわりが200坪の家ばかりだったら、幸せを感じられません。地位財は、競争が発生し、無理に高いものに手を出しがちなので要注意です。
教育費も同じく要注意です。勉強にまったく向いていない子なのに、周りと同じように大手の塾に行かせて私立中受験をして、親の経済力を超えて教育費を支払っているケースが少なくありません。その結果、親の老後のお金が不足する。
一方で非地位財としては、個人的に楽しむレジャーや家庭の食事などの支出があげられます。地位財ばかりにお金をかけて、非地位財が減ると幸福度が下がってしまうので、ぜひ気をつけてください。
取材・文/西山美紀
構成/片岡千晶(編集部)
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