食事は可能な限りテイクアウトを始めたお店で買うようにしています。微力ながら、いつも楽しませてもらっているお店を応援したくて。
鎌倉でも多くの飲食店がテイクアウトを始めています。サンドウィッチやお弁当といった気軽なものから、コースのメイン料理を家で楽しめるメニューまで、個性も味わいもさまざまです。

前回記事「鎌倉在住の作家が見た「テイクアウトか休業か」有名店の苦悩」はこちら>>


「かまくら 一平」は本格的な京料理を由比ヶ浜通りで楽しめるお店。コースの
最後はお寿司が評判です。テイクアウトは穴子の箱寿司。その名の通り四角い箱につめられたお寿司で、関西の定番ですよね。穴子鮨飯の上に炊いた椎茸、その上に海苔、鮨飯、そして炊いた穴子を刻んだものがのっています。濃い目に日本茶を入れて食べました。ふっくらした穴子が甘くて香ばしい。コロナの騒動でついギスギスしてしまいがちですが、心を解かれました。二人前3000円、一人前は1600円。その日によっては鯛の箱寿司もありますし、野菜の炊き合わせなどもテイクアウトできます。

 


普段はエノガストロノミアとして営業しているのは「オルトレヴィーノ」。ガストロノミアとはワインの販売、惣菜の販売、それらを店でも食べられるというイタリア式のスタイルです。レストランは休業中ですが、テイクアウトやオンラインショップで生パスタやパスタソース、惣菜を買えます。昨日はランチにフレッシュトマトのソースを食べました。三浦のトマトと青森のにんにくで作られたアリオーネ。一袋900円で、生パスタは7種類あって80gで600円〜800円。

 

生パスタは五分ほど茹で、ソースは袋のまま湯煎して、器の中で混ぜ合わせるだけ。私は香りづけのオリーブオイルをほんのちょっとだけかけました。最近、何かを足すより引き算することの大切さを感じています。このアリオーネもまさにそんな味わい。それぞれの素材の個性が凝縮され、溶け合っているといったらいいでしょうか。

 

パスタソースの他、無角牛の黒胡椒煮込みや骨付鶏もも肉の煮込み、鯖のコンフィといったメニューも揃います。どれも湯煎するだけなので、調理に疲れた時におすすめ。味は保証します。

 


土鍋の炊きたてご飯が人気の「喜心 kamakura」ではお惣菜とお弁当をテイクアウトできます。週末は店頭で朝どれの野菜の販売もしています。お惣菜を買いに行ったら、カウンターの向こうにはお見かけしたことのある方が腕をふるっていました。今年の1月まで喜心の斜向かいにあった「サスケ ストア 鎌倉店」の方でした。サスケは三浦半島で取れた野菜やおいしいお惣菜が揃うのでちょくちょく利用していました。クローズしてしまいがっかりしていたら、ここで再会。マスクしたままほんの五分ほどですが、嬉しかったです。この日は、ささみときゅうりの中華風の和え物やがんもどき、イワシの煮付けなどを購入。自分で炊いた発芽玄米で味わいました。喜心は炊きたてご飯が人気のお店ですから、次回はお弁当と決めています。

 


北鎌倉のイタリアン「アキヅキ」には「おうちでアキヅキ」をデリバリーしてもらいました。前菜からメインまで野菜たっぷりの品々が一箱に収まって、パンと一緒に届きます。一箱3300円。お酒を楽しみたい時にぴったり。予算を伝えてワインも一本付けてもらっちゃいました。配達エリアは要確認ですが、お腹を空かせて待つのも楽しいものです。

 
 


モダンなフレンチ「ラ・ヴィ」ではローストチキンを贅沢にも一羽丸ごとです。スタッフィングは新玉葱とニンニク。もも肉も手羽も胸肉もすべてがジューシィでおいしかった! 家族で食べているので、残った骨で出汁をとってはカレーを作りました。銀色の立派な容器は使い捨てだそうですが、もったいないので洗って取ってあります。

 

 

テイクアウトやデリバリーを利用して感じたのは、器やテーブルセッティングって大切だなあということ。これにはどんな器があうかなと考えるのも料理のうち。同じメニューでも気に入ったお皿やボウルで味わう方がおいしいに違いありません。たまには食卓にお花を飾ったりしてね。逆に、自分で料理をする時は決まったメニューは使う器も同じになりがちですが、いつもと違う料理が盛り付けられると器もまた別の表情を見せてくれます。


シロウトの私がいうのも生意気ですが、料理人の方々はふだんは目の前で、熱々のままもしくはきちんと冷やして食べてもらう前提で仕事をされています。彼ら彼女らが自分の手を離れたタイミングで口に運ばれるものを作るのは、きっと苦労が要ることと思います。プライドや信念だって、曲げなければならないでしょう。利用することで少しでも応援になるなら嬉しいです。


目下の私の悩みはプラごみが出てしまうこと。二年ほど前、自分が出しているプラスチック包装の量がふと怖くなったのです。鎌倉市では週に一度の回収があって、その度に、大げさですけれど、地球に対して申し訳ない気持ちになります。ストレスにならない範囲で減らす努力をしてきたのですが、テイクアウトを始めたお店のたいていはプラスチック容器を使っています。ここに来て、また増えてしまいました。きれいなものはとりあえず洗って保存してあります。どうしたらいいのだろうか。


お食事の他にも、日本茶専門店「チャバッカ・ティーパークス」では、アイスに限ってドリンク一杯から配達するサーヴィスを始めました。日本茶葉やお茶周りのグッズもデリバリーで購入可能。「たった一杯のためにわざわざ」と思わず、気軽に申し込んで欲しいとのこと。 暑くなってきた今日この頃、お茶っ葉を頼みがてら、アイス日本茶を頼んでみようかと思います。


地元の人だけではなく東京にもファンの多い「カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ」はその名も「# Stayhome」というブレンドのネット販売をしています。お家時間用にたくさん飲んでも胃が疲れないマイルドな配合のブレンドのお徳用。500gが2000円、1キロが3800円(これ、本当にお徳用!)。私は1キロ袋を買ったのですが、コーヒーがパソコンの横にないと原稿を書けない私はすでにもう底をつきそうです。

 


営業を自粛していた「チョコレートバンク」もテイクアウトを始めました。買い出しの帰りに大好きなチョコレートバブカをピックアップ。どうしても時間の流れがゆるゆるしてしまいますが、ティータイムを充実させるのもStayhomeの上手な切り抜け方かもしれませんよ。
 

 

<書籍紹介>
『鎌倉だから、おいしい。』

甘糟りり子 著 集英社 定価1500円(税別)

『モーテル0467 鎌倉物語 』(小学館文庫)、『鎌倉の家』(河出書房新社)に続き、鎌倉を舞台にした作品としては三つ目。幼い頃から鎌倉で暮らす著者が愛してやまない鎌倉の美味しい店について綴ったエッセイ集です。
イチリンハナレ、オステリア・ジョイア、珊瑚礁 本店、ブラッスリー・シェ・アキ、天ぷら ひろみなど、名店の味とその周辺の人にまつわる美味しいエピソードにたくさん出会える1冊。

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