細谷 アップリンクではオンラインで自社配給作品見放題のキャンペーンを実施中。想田和弘監督(『選挙』)の『精神0』などを配信する「仮設の映画館」が開設されたり、新しい動きもあるね。

 

よしひろ この状況からとりあえず抜け出せたとしても、元の状態に戻るにはまだまだかかるじゃない。上映自粛期間が終わっても、大手のシネコンがすぐに新作公開には動かないと思うわけよ。あとね、忘れちゃいけないのがミニシアターは不動産を持っていない興行主も多いってこと。テナント料を払っているところは手厚く守らないと。

細谷 飲食店と同じだよね。賃料割引や延滞の措置とか、国がカバーしてくれればいいけど、それは期待できないし……。

よしひろ そうなのよね。大手はいいの。たとえテナントだったとしても、大会社の留保と保護があるから。守るべきは、ミニシアターブームが過ぎてなお淘汰されずに残るべくして残った猛者のミニシアターなのよ。

細谷 下高井戸シネマでは独自にクラウドファンディングをやってるね。あとは何ができるかな……。微々たる応援かもしれないけど、自社で販売しているパンフレットやグッズを買うとか?

よしひろ 不安な日々を送っているはずだから、近隣のミニシアターには直接「何か手はありませんか?」と聞いてもらうのもいいかも。下北沢トリウッドユジク阿佐ヶ谷のようにオンラインショップで応援できるところもある。

細谷 横浜シネマリンポレポレ東中野ではTシャツ購入で応援できるオンラインショップを開設してるね!

よしひろ 京阪神のミニシアターを応援する「Save our local cinemasプロジェクト」のTシャツもかわいいわよ~。

細谷 近所のミニシアターが何かやっているか、チェックしてみてもいいかも。この読者の皆さんはミニシアターブームを体験した人も多いだろうから、ここはともに踏ん張る意識を持てるといいね。

よしひろ そうそう。デートやこじれたサブカル熱でお世話になった分、恩返しするのは今よ! どうしても大きなスクリーンで観たい! って人にはドライブインシアターって手もありますな。

細谷 確かに、車もないのに行きたくなってる(笑)。

よしひろ 広大な土地と巨大スクリーンが必要になるから、この騒動が収束しても残っていくだけの体力が必要。ってことで、ドライブインシアター2020のクラウドファンディングもあるわよ。
今後、ウイルス禍はいつ起きるかなんて分からないんだから、こういう手は残せるなら残した方がいいと思うわよ!

取材・文/細谷美香
構成/片岡千晶(編集部)
 


前回記事「GWのおうち時間に!ハッピーで優しい気持ちになれる映画5選」はこちら>>

著者一覧
 

映画ライター 細谷 美香
1972年生まれ。情報誌の編集者を経て、フリーライターに。『Marisol』(集英社)『大人のおしゃれ手帖』(宝島社)をはじめとする女性誌や毎日新聞などを中心に、映画紹介やインタビューを担当しています。

文筆家 長谷川 町蔵
1968年生まれ。東京都町田市出身。アメリカの映画や音楽の紹介、小説執筆まで色々やっているライター。著書に『サ・ン・ト・ランド サウンドトラックで観る映画』(洋泉社)、『聴くシネマ×観るロック』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、共著に『ヤング・アダルトU.S.A.』(DU BOOKS)、『文化系のためのヒップホップ入門12』(アルテスパブリッシング)など。

ライター 横川 良明
1983年生まれ。大阪府出身。テレビドラマから映画、演劇までエンタメに関するインタビュー、コラムを幅広く手がける。男性俳優インタビュー集『役者たちの現在地』が発売中。twitter:@fudge_2002

メディアジャーナリスト 長谷川 朋子
1975年生まれ。国内外のドラマ、バラエティー、ドキュメンタリー番組制作事情を解説する記事多数執筆。カンヌのテレビ見本市に年2回10年ほど足しげく通いつつ、ふだんは猫と娘とひっそり暮らしてます。

ライター 須永 貴子
2019年の年女。群馬で生まれ育ち、大学進学を機に上京。いくつかの職を転々とした後にライターとなり、俳優、アイドル、芸人、スタッフなどへのインタビューや作品レビューなどを執筆して早20年。近年はホラーやミステリー、サスペンスを偏愛する傾向にあり。

ライター 西澤 千央
1976年生まれ。文春オンライン、Quick Japan、日刊サイゾーなどで執筆。ベイスターズとビールとねこがすき。

ライター・編集者 小泉なつみ
1983年生まれ、東京都出身。TV番組制作会社、映画系出版社を経てフリーランス。好きな言葉は「タイムセール」「生(ビール)」。18年に大腸がん発見&共存中。

ライター 木俣 冬
テレビドラマ、映画、演劇などエンタメを中心に取材、執筆。著書に、講談社現代新書『みんなの朝ドラ』をはじめ、『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』ほか。企画、構成した本に、蜷川幸雄『身体的物語論』など。『隣の家族は青く見える』『コンフィデンスマンJP』『連続テレビ小説 なつぞら上』などドラマや映画のノベライズも多数手がける。エキレビ!で毎日朝ドラレビューを休まず連載中。

ライター 渥美 志保
TVドラマ脚本家を経てライターへ。女性誌、男性誌、週刊誌、カルチャー誌など一般誌、企業広報誌などで、映画を中心にカルチャー全般のインタビュー、ライティングを手がける。yahoo! オーサー、コスモポリタン日本版、withオンラインなど、ネット媒体の連載多数。食べること読むこと観ること、歴史と社会学、いろんなところで頑張る女性たちとイケメンの筋肉が好き。寄稿中の連載は、
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