コロナウイルスとの長期戦が余儀なくされている日本。国民すべてに努力と忍耐が要求されていますが、中でも、人命を救うために危険をかえりみず最前線で闘っているのが医師や看護師などの医療従事者の皆さんです。

 

そんな方々になにか支援ができればと思っている人もいるのではないでしょうか。
そうした声を象徴するように、医療従事者の方々に「食事を届ける」プロジェクトが飲食関係の方々を起点にいくつも立ち上がっています。
 

①「スマイルフードプロジェクト」

 

「おいしい食事で少しでも安らぐ時間を持っていただきたい。栄養たっぷりのひと皿で、明日に向かう活力を養ってもらいたい」と、フランス料理店・シンシアのシェフ石井真介氏らによるシェフグループ「一般社団法人シェフス・フォー・ザ・ブルー」、レストラン・ケータリング運営会社「サイタブリア」、広告会社NKBの共同プロジェクトとして4月上旬に発足しました。

サイトで募った寄付により、一流のシェフたちが作った食事を医療機関に提供するもので、5月14日現在までに、東京を中心とした17の病院(延べ36病院)に4393食が届けられたといいます。

 

発足人の一人で「一般社団法人シェフス・フォー・ザ・ブルー」代表理事の佐々木ひろこ氏は、こういいます。
「休日、日夜関係なく臨戦態勢で、患者と向き合う医療の現場では、まんぞくな食事を取ることもできないことが多いと聞きました。飲食業に関わる身としては、食の力を信じたいという思いもあり、食が人や社会を元気にできるということを示すことできたら嬉しいと思っています。
実際に、寄付金サイトに寄せてくださっている方のコメントには、『ずっと何かしたかったけれど、Stay Home以外に私たちにできることがなかった。プロジェクトを立ち上げ、寄付という手段を作ってくれてありがとう』という趣旨のものがとても多い。
こうしたプロジェクトがいくつも立ち上がり、参加してくださる方の輪が広がっている背景には、過酷な状況のなか、コロナウイルスに最前線で立ち向かってくださっている医療従事者の皆さんに対し、何とか応援したいという感謝の思いが多くの人々の間に広がっているからだと思います」

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②「クリスプ コネクト」

 

都内で14の店舗を展開するサラダ専門店・クリスプ・サラダワークスが3月末より開始したプロジェクトが「クリスプ コネクト」です。
サイトで募った寄付、750円あたり1食のサラダを無償で医療従事者に届けるというもの。5月1日現在、11700食のサラダが提供されたそうです。

 

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③「コロナウイルスと最前線で戦う医療現場に
寿司や弁当を届け支援したい」

 

築地すしOMAKASEの店主、東ケンシロウ氏は、有志とともにクラウドファンデング「コロナウイルスと最前線で戦う医療現場に寿司や弁当を届け支援したい」を立ち上げました。
2月1日より独立し新規開業した東氏の店舗は、コロナ禍によりお客様や従業員の安全を考慮し、3月31日より臨時休業中。

ですが、4月初旬の緊急事態宣言以降、医療従事者がおかれた過酷な環境を知り、従業員とともにこのプロジェクトを発案したといいます。1200円の寄付により1食分を医療従事者に届けるもので、5月7日現在、サポーター302人より応援総額約190万円が集まったそう。

現在は、うなぎの棒寿司、穴子の棒寿司、太巻きなどの巻物やいなり寿司ですが、今後は栄養価を考えた弁当も検討中とのことです。

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飲食業は、外出自粛生活により最も影響を受けている業種のひとつ。そんな飲食業に携わる人たちの技術、力、ネットワーク、そしてなによりも思いやりが基軸となって医療従事者を支える。
こうした取り組みこそ、コロナ禍の希望の光のひとつといえるかもしれません。

取材・文/立田敦子 
構成/片岡千晶(編集部)