モードなジェフリーが倒産する一方、ヨガパンツの売上急増
このロックダウンで、落ち込んだのが、小売りの売上。なかでも売れなかったのがアパレルで、なんと4月の売上が前年比90%減となりました。
昨年はバーニーズが経営破綻して閉店となり、ニューヨーカーに衝撃が走りましたが、リテイル不振にコロナの追い打ちで、デパートは大打撃。ニーマン・マーカス、JCペニー、Jクルーなどの大手リテイルやメーカーがつぎつぎと倒産に。
そしてクールなセレクトショップとして、ミートパッキング地区を牽引してきたストア「ジェフリー」まで倒産の憂き目にあったのです。
かつてはバーニーズやジェフリーのような、審美眼のあるバイヤーが選んだ商品が並ぶ店に買いに行くことじたいがクールなことだったのですが、今やショッピングはすっかり実店舗からオンラインに移行。
その一方、売上を伸ばしたのが、オンラインで販売されるヨガパンツやアクティブウエアで、売上が50%もアップしたスポーツウエアサイトもあるそう。
自転車とスケボーの4月の売上は、なんと前年比200%アップという結果も出ていて、現在自転車は入荷待ちというほど、売れている商品です。
またジムがクローズしているので、室内でできるホームエクササイズ器具も人気となり、多くのワークアウトがオンラインでクラスを開催しています。
たとえば室内自転車のモニターに、専用のプログラムが配信される「ペロトン」は売上を伸ばし、また自宅にミラー型のモニターを設置して、オンラインで流されるクラスに参加できるホームエクササイズ機器「ミラー」も人気に。
気がついてみれば、一日中ワークアウトウエアを着ているという女性も多く、既にここ数年、アスレジャーが日常着になっているニューヨークですが、さらにその傾向が広がるはず。ことに女性ではカラフルなウエアや、ブラトップとレギンスの組み合わせが目を惹きます。
人間、いったん楽なことを経験すると、元には戻れないもの。
ニューヨークではビジネスが再開して会社に行くときも、ヨガパンツにスニーカー、会議のときだけストレッチ素材のジャケットを着るようなカジュアルなスタイルが主流になりそうです。
全米のブランドが加盟しているCFDA(アメリカファッション協議会)は「今後は年に2回のコレクションにする」と発表していて、今までのように安価な服を大量に作って売りさばくというビジネスではなく、ファッションもサスティナブルな方向にむかいそう。
グランピングがインになる!
ディズニーランドなどのアトラクション施設も、徐々に再開されるといわれていますが、海外旅行ができるようになるのは、まだまだ先のこと。
3月になってから、富裕層はいっせいにフロリダやハンプトンの別荘に疎開してしまい、ニューヨークに残っていないという状況です。
夏になっても、飛行機で旅行するのは色々と面倒がありそうで、みんなが避けたがるはず。
一方、この夏に人気になると予想されているのが、キャンピングです。
キャンプであれば、カップルや家族で車に乗って出かけられるし、自分たちだけで宿泊できるのが大きな魅力。
グランピングのような贅沢なキャンプも人気になりそうで、おしゃれなキャンピングファッションや、アウトドアファッションが、注目されそう。
また面白いことに、ニューヨークで復活しているのが、昔懐かしいドライブ・イン・シアター。車のなかから映画を見るというスタイルが、コロナ時代にぴったりということで、いくつかの場所で行われています。
そして待機期間中に、全米で大人気になったのが、ホーム・ベーカリー。
バナナブレッドやパンを焼く人が急増して、多くの人が料理の腕に目覚めたというプラス面もあります。
まだまだ自宅待機にあるニューヨークですが、人々がアイデアを持ち寄り、たくましく生き抜いているのも事実。
毎晩7時に、医療従事者を中心にエッセンシャルワーカーたちに送る拍手も、勢いよく続けられています。
#NYTough(ニューヨーク・タフ)というハッシュタグのキーワードは、クオモ知事が毎日の会見で口にしている言葉です。
「ニューヨークはタフだ」
この2ヶ月を過ごして、そう実感します。ニューヨークの女性たちは、ウィズ・コロナ時代もエネルギッシュに過ごしているのです。
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