「母胎ソロ」というパワーワード


恋の盛り上がり最高潮!というところで発覚するのが、なんと「ジョンヒョク=母胎ソロ」という事実です。わからない方に説明すると「母胎ソロ」っていうのは、自分の母親の身体から出て来て以来、ずーっとソロ(女性との関係がない)という意味で、こういうネタをこういう局面でぶっこんでくるところに、韓国ドラマの尋常でない強度を感じざるを得ません。

かつてこの言葉を初めて聞いた時、韓国人の言語感覚のスゴさにのけぞったのですが、「母胎ソロのBIGBANGテヤンが結婚!」みたいに有名人に普通に使われており、そうしたディープな個人情報が公になるのってどうなんだと思ったり思わなかったりするのですが、むしろ現在の#MeTooな韓国では「遊んでいない男」という肯定的ニュアンスもあったりします。

もちろんジョンヒョクもそれを指摘されても超然としてますし、セリも「差別的なニュアンスもなくはないけど」とかなんとか言いつつも、どうちゅうことはないとスルー。韓国であらゆる男と付き合ってきたセリを「女のくせに」と非難しないのと同等に、母胎ソロのジョンヒョクを「いい年した男が童貞かよ!」と笑いにもしないというところに、このドラマのジェンダー感覚の素晴らしさがあります。

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そしてついに9話。えええーっ、北朝鮮・韓国の国境地帯には「知ってる人は知っている、1~2時間で国境越えられる徒歩ルート」があんのかい!というツッコミをものともせず、セリは韓国へ帰国。そして彼女を狙う魔の手が韓国へも伸びたことを知ったジョンヒョクもまた、韓国へと向かいます~。
次回は後半、韓国パートをプレイバックします。お楽しみに!

この記事は2020年6月4日に配信したものです。
mi-molletで人気があったため再掲載しております。
 
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