「ボディ・ポジティブ」という言葉が盛んに言われている昨今。ボディ・ポジティブとは、ありのままの自分の体型を愛そうというムーブメントで、「#BOPO」というハッシュタグでSNSでも様々な投稿がされています。多様性を受け入れる社会が求められている中で、ヴィクシーモデルみたいなパーフェクトボディを美の基準にするのではなく、様々なタイプの体型がある現実を受け入れ、自分のボディを愛そう、という意味合い。
そんな中、歌手のビリー・アイリッシュが、ボディシェイマー(体型批判する人たち)に対して抗議したショートフィルムを公開したことが話題になっています。
元々、彼女のトレードマークのオーバーサイズのジャージ姿は、体型について「他人から痩せているだの太っているだの、とやかく言われたくない」という強い意志を反映したもの。それが、以前ビキニ姿のセルフィーをインスタに投稿したところ、「彼女はビッ●だからもう好きじゃない」と言われたり、ノースリーブ姿のときは「性的に見られたくないとか言いながら、よくそんなカッコができるよね」と叩かれたり。
有名人ゆえに、見知らぬ他人に外見をあれこれ言われる。
そんなボディシェイマーたちにうんざりしたビリーは、SNSでショートフィルムを公開したのですが、そこでは彼女が服を脱いで水の中に沈んでいく映像とともに、「私が好きな服を着れば女らしくないと叩かれるし、薄着をすれば尻軽だと罵られる。私のボディを見たことがなくてもあなたは私を批判する。(中略)誰が私たちの価値を決めるの?」という、ビリーのメッセージが語られています。
もうひとつ。ラッパーのカーディ・Bがインスタに投稿したある動画の話。
こちらは、元ストリッパーでグラマラスボディのカーディが、家の中のカメラに向かってセクシーなブラトップ姿で歩いてくるところを映しているのですが、カメラの前で立ち止まって横を向いた彼女がお腹の力を抜いた途端、お腹の贅肉がボヨヨン!と飛び出すという、衝撃の内容(笑)。
私はこの動画がお気に入りで何回も観てしまうのですが、歯に絹着せない言動で知られるカーディらしい、「ボディ・ポジティブ」なメッセージだなと思うのです。「私たちセレブだってお腹に力を入れたりしてインスタでは美しく見せるようにがんばってるけど、普段はこんな感じなのよ」。これってものすごく親近感が湧くし、「そっか、セレブも外出自粛で家に居たら運動不足で私たちと同じように太ったりするのね」と、何だか安心しませんか。
ビリーとカーディ。ふたりとも、手法も方向性も違うけれど、ボディ・ポジティブの重要性に対して訴えるメッセージは同じ。
SNSが広まり、匿名で気軽に自分の意見を誰もが発信できる世の中だからこそ、誰かを傷つけるような言葉を考えなしに発して、人の尊厳を傷つけることはあってはならないこと。それが外見や体型のことであっても、人間性についてであっても。彼女たちのメッセージから、そんなことを改めて思わされました。
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