スタイリスト、ミモレコンセプトディレクターの大草直子が着こなしのアイデアや日々の思いを綴ります。

【スタイリスト大草直子】自宅待機のギフトは、「足るを知る」ということ_img0

先日、Zoomイベントに参加してくださった方、ありがとうございました! みなさま、お酒を片手に聞いて下さり、楽しかったです♡ 今回は参加できなかった方にも、そこでお話しした内容を少しシェアさせてください。

 

事前に頂いていた、皆様からのご質問。咲子編集長からこう問いかけられました。「3か月弱の時間、どんな新しい価値観が生まれましたか?」

「足るを知る」と答えました。

あれがない、これが足りない、ああだったら。今まで、これが私のモチベーションになっていた気がします。行ったことのない場所に行きたい。持っていないバッグが欲しい。もっとパワフルでいなくては――。

この3か月弱でやったこと。自宅で夫と3人の子供たちと食べることの楽しみを見つけ、今いるこの場所に感謝し、クローゼットで、私の情熱を支えてくれているワンピースやパンツをもう1度見直しました。会えないクライアントさんとの宅急便のやり取りにワクワクして、返送するときには必ず手紙とsomething smallを同梱。タクシーの中や撮影の合間に走るように打ち合わせをしていたスタッフたちと、1時間半みっちりZoom会議をして、未来をシェア。

私はもう、充分もっている。
今の私で充分だ。
「足る」を知ったのです。

疾走するように生きてきた私に、ゆっくりとジョギングをする楽しみをプレゼントしてくれたタイミングでした。

さらに、こんなことも気づかせてくれました。何気ない毎日は、たくさんの人によって支えられていて、それがあってこその「おしゃれ」や「装うこと」。今日明日の命には関係ないかもしれないけれど、多くの人の努力の上にある私たちの日常を、自分らしく、色鮮やかに「生き切る」ためには絶対に必要。リアルに悪化していく目の前の現実に、今までプロとしての手を抜かなかった1つ1つの仕事は何だったのだろう、と落ち込んだ後、そう思いいたりました。なんだか、自分の仕事、キャリア、生き方を認めてあげることもできたような気がします。

大変な状況だったし、今まだ苦しんでいる方もいる。最前線で働く方には、感謝とリスペクトの気持ちしかありません。今後は、この「新しい日常」を慎重に始めていこう。今手のひらに、まだ温かく存在している、気づきや新しい価値観を、今後も大切にしていこうと思っています。

大草 直子

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