腸内環境は日々の生活から整えるのが一番
「腸内細菌のバランス、食生活、ストレスバランス、体内炎症の起こりやすさ、消化力、生活リズム、医薬品内服歴など、さまざまな要因によって腸内環境は変化します。例えば、体内時計をリセットするタイミングである起床時間が不規則になるだけで時差ボケのような状態になり、腸内細菌バランスが崩れることがわかっています。下記にあるような、食生活での取り組みに加え、生活全体を見直す必要があります」(澤登先生)
<食生活は何に気を付ければいいの?>
1. 乳酸菌を摂る
善玉菌と呼ばれている菌のうち、大腸ではビフィズス菌や酪酸菌、小腸では乳酸菌が活躍します。ヨーグルトなどの乳製品はもちろん、納豆、みそ、ぬか漬け、キムチのような植物性発酵食品がおすすめ。
2. 食物繊維を摂る
水分を吸収し便をスムーズに排泄してくれる、野菜、豆類、海藻などを積極的に摂って。
3. 油をバランスよく
オメガ3系脂肪酸は、腸粘膜の炎症を抑えたり、腸の動きを良くして排便をスムーズにしたりする働きがあります。オメガ6系脂肪酸は身体に悪いというイメージがあって避ける方が多いのですが、身体に必要な油であり、摂り過ぎはよくありませんが不足も問題です。オメガ3とオメガ6はバランスが重要です。
オメガ6……サラダ油、大豆油、コーン油、ごま油、グレープシードオイル、マヨネーズなどに含まれる
オメガ3……えごま油、しそ油、亜麻仁油(あまにゆ)、魚の油などに含まれる
4. 食品添加物、抗生物質、残留農薬等はさける
腸粘膜の機能や腸内細菌のバランスを悪くするので可能な限り避けたいものです。糖分や小麦に含まれるグルテンも同様に腸内環境を悪くしますので、摂り過ぎには注意してください。
<免疫力をアップする日常生活のコツは?>
1 1日15分の日光浴
腸内環境を整えるのに有効なビタミンDは、新型コロナウイルスへの感染や重症化を防ぐという報告があり注目されています。
ビタミンDは、太陽の光、つまり紫外線に当たると体内で合成されますが、紫外線が肌の老化の原因となると避ける女性が多いです。対策としては、半そで・短パン程度の肌の露出度で1日15分、太陽の光を浴びるのが理想です。基本的に紫外線を防げば防ぐほどビタミンDの合成は低下します。日焼け止めの強さにもよりますが、日焼け止めを使用するような方はサプリメントの摂取をおすすめします。
2 腸の除菌しすぎに注意
腸をキレイにしすぎる行為は要注意です。ダイエットの為の腸内洗浄(コーヒーエネマなど)や、抗生剤や下剤の乱用は、腸内細菌のバランスを乱します。やむを得ず抗生剤を使用する際には、乳酸菌など善玉菌のサプリメントを併用することをおすすめします。
3 長期間に及ぶ胃薬の内服に要注意
胃酸の分泌や合成を抑制するタイプの胃薬は、胃酸が持つ消化機能やバリア機能を低下させます。口腔内で増殖したカンジタ菌や外から入ってくる菌が腸にまで届いてしまいトラブルにつながる危険性があります。症状が改善したら、できるだけ早く内服をやめましょう。
4 トータルなストレスケア
心のストレス解消法は、運動や旅行など人それぞれですが、それもままならない今、心身のケアのためにはビタミンCの摂取が有効です。
ビタミンCはストレスがかかった際、心と体を守るために分泌されるコルチゾールというホルモンの材料になります。加えてマグネシウムの摂取もおすすめです。ストレスで受けたダメージの回復は睡眠中に行われます。マグネシウムは、「睡眠のミネラル」とも言われており、睡眠の質の向上や心と身体をリラックスさせてくれる働きがあります。
「生活習慣の見直しとストレスケアが腸活の第一歩。日頃から便秘や下痢に悩んでいる方も、きっとまだ取り組んでいないことがあるはずですよ。単なる対症療法ではなく、ライフスタイルの改善・ストレスマネージメントなどトータルケアをクリニックでは行っています」(澤登先生)
不調を感じている方は、専門医療機関に相談するのもひとつの方法です。
構成/片岡千晶(編集部)
この記事は2020年6月16日に配信したものです。
mi-molletで人気があったため再掲載しております。
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澤登雅一先生
医学博士 東海大学医学部血液腫瘍内科客員講師、日本内科学会総合内科専門医、日本血液学会専門医、日本がん治療認定医機構 がん治療認定医、日本抗加齢医学会評議員・専門医、米国先端医療学会(ACAM)キレーション治療認定医、エピジェネティック療法研究会 代表幹事、特定非営利活動法人 日本コーチ協会認定メディカルコーチ、日本医師会認定産業医
1992年、東京慈恵会医科大学卒業。血液内科医として、日本赤十字社医療センターにて14年間勤務。2005年より三番町ごきげんクリニック院長。
著書『その「不調」、あなたの好きな食べものが原因だった? 〜遅発型フードアレルギー〜』
(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など