夫の浮気が原因で離婚したけれど、その10年後に同じ相手と再婚した洋子さん。
パソコンの隠しフォルダに浮気相手の写真が
さかい:そもそも、最初の離婚の際、どうやって浮気に気づいたんですか?
洋子さん:夫婦で共有していたパソコンの隠しフォルダに浮気相手の写真があって、向こうも言い逃れできないくらいのバッチリした証拠を見てしまったんですよ。見た瞬間、「あ、無理だ」って思いました。相手は仕事の取引先の女性で、飲み会の席で彼が婚約中だと知って興味を持ったらしいです。
さかい:人の物だと思うと燃える、厄介な相手に目をつけられてしまったのですね…(涙)。
当時専業主婦だった洋子さんは、当面必要な生活費を元夫である進一さんからもらうことで協議離婚。
それにしても、そんな風に別れた相手と、どうやって再び夫婦になることになったのでしょう?
洋子さん:離婚して10年経った頃、向こうは地方勤務で、私がその土地を訪れることがあったんです。現地で会ったときに、ちょうどお互いに付き合っている相手が居なくて。彼の車に乗せてもらって「そういえば10年経つよね」なんていう話をしているときに、「この人とは家族みたいに楽に話せるな」って気づきました。話していてすごく楽しかったんですよね。
恋愛っぽい盛り上がりはなかったけれど、そのときに洋子さんは進一さんの大切さに気づいたと言います。
再婚生活はラブラブというより「家族復活」
当時、体調を壊していて「仕事がしんどいんだよね」と口にした洋子さんに、進一さんが「もうすぐ俺も東京勤務になるから、仕事は辞めれば?」と言ってくれ、自然な流れで再婚へ。交際期間はゼロ日でした。
最初の結婚のときも大学院に進学したかった洋子さんに「結婚してから通えばいいじゃん」と言ってくれていたし、きっと進一さんって器が大きくて包容力がある男性。洋子さんもそこに惹かれたのでしょうね。
さかい:元々大学時代の先輩後輩という間柄のおふたりですが、やり直すことについては周りの人たちになんて伝えたんですか?
洋子さん:夫は忙しくて昔の仲間とは連絡を取っていないのですが、私がFacebookで再婚報告をしたら、みんな「よかったね」と祝福してくれました。向こうの両親はどう思っていたかわからないのですが、うちの両親は古風な考えの持ち主で元々離婚には反対だったので、「また一緒になるなら、今度は浮気されようが結婚生活は続けなさい」と言われましたね(苦笑)。
再婚生活(?)は、ラブラブというより、「家族復活という感じ」と洋子さん。昔気質の「男が稼いで、女が家を守る」という進一さんの考えもあり、家のことはすべて洋子さんが担当し、夫は一切家事をしないというスタイル。
大手マスコミ会社勤務の進一さんと36歳で再婚し専業主婦に。世間から見ると羨ましく思われそうな現状ですが、洋子さんには、密かにコンプレックスを抱いていることが。
洋子さん:世間の暮らしぶりと自分とが違いすぎて浮いていて、劣等感があるんです。周りの友人はみんな子供がいて働いていたりして忙しそう。グループLINEも、ママたちは朝早くて夜も早いからタイミングが合わなくて、私が起きたときにはひとしきり会話が終わっている、なんてことがしょっちゅう。今の私は子供がいなくて妊活中で、いちばん中途半端な時期。すごく孤独を感じます。
夫が有名企業勤務で専業主婦ということに、友人と話していて、たまに棘を感じるときも。アラフォー辺りで生活レベルなどが違うと起こりがちな、いわゆる「マウント」の取り合いというやつなのでしょうか。
洋子さん:私は妊活していてなかなか子供ができないから、それを話せばいいのかなと思うけど、それはそれで妊活を辞めたときにまた話すのもめんどくさいし…。きっと、周りからどう見られているか気にしているところがあるんでしょうね。
一度離婚したことがある人は、離婚したいと思ったら迷わない
さかい:同じ相手とまた暮らし始めると、結婚生活もスムーズなものなんですか?
洋子さん:それがですね、お互い10年も別々の生活を送ってきたから、以前の結婚生活とは全く別物なんですよ。彼は10年間ずっとひとりで好きなようにお金を使ってきたから、金遣いがとにかく荒くて。それと、生活態度がすごくだらしなくなってました。忙しいと顔も洗わないしお風呂も入らない。それに仕事柄なのか、家ではテレビを常につけっぱなしでザッピングしながらスマホをいじってる。食事するときもスマホをやめないんです。話してる最中も、ですよ? その癖にはイライラするんですが、「一個のことだけやってるのは時間がもったいない」というのが夫の主張です(笑)。
さかい:また浮気しないかと不安になることはないですか?
洋子さん:実は、昔の浮気相手と連絡を取り続けていることがわかったんですよ。彼女は今写真家になっていて、彼女の個展の招待状が夫のかばんから出てきて判明しました。「行ったの?」って聞いたら、昔の同僚と行って、「かわいそうだから写真を買ってあげたけど捨てた」って。
情に篤い男は、よその女性にも優しいのか!? その優しさ、いらないですよね…。
さかい:進一さんは、洋子さんと離婚したあと、その方と一緒にはならなかったんですね。
洋子さん:彼にはそのつもりもあったみたいですけど、結局、離婚したら向こうが怖気付いちゃったみたいで別れたそうです。それでもいまだに彼の周りをうろついているので、最近話題になった●田さんみたいな、ちょっと略奪癖がある方なのかもしれませんね。でも、夫は今じゃすっかり見た目もおじさんなので、浮気に関しては前ほど心配してないんです。
さかい:彼と再婚してよかったと思いますか?
洋子さん:そうですね。安心感があるから、その点ではいいなと思います。ただ、不妊治療もそろそろリミットかなと思っていて、もう少し早く再婚すれば子供も持てたのかなあと、そこだけは後悔していますね。あとは、離婚したことがない人って離婚に対して抵抗があるけど、私たちは一度経験がある分、何かあって「離婚したい」と思ったら迷わないと思うので。そこがちょっと、怖いところではあります。今まで自由に暮らしてきたふたりがただ同棲しているという感じもあって、それはそれで楽なんだけど、子供ができなかったときに、今後ふたりでどういう風に生きていくのかというのは、課題でもあります。
「子供ができない」というのは、晩婚さんならではの悩みかもしれません。でも子供が居ても居なくても、40代からの人生後半を一緒にどう向き合って歩んでいくかは、どの夫婦にとっても共通の課題と言えそうです。
構成/川端里恵(編集部)
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