器用じゃないからこそ、アウトソーシングを活用
「洗濯は家族で分担し、掃除は完全にアウトソーシング。自分の時間をうまく家事・育児・仕事に使うことができる人もいると思いますが、私はそんなに器用ではないので、何を自分でやって、何を任せるのか、いつも考えています。結局、基本的にちゃんとやるのは料理だけなのですが(笑)。
料理はだいたい、朝に夕飯の仕込みも終わらせておきます。自分が帰って作れない場合は、材料を切って調味料を用意しておいて、シッターに最後の調理をお願いします。このことによって、工程の分解をとことん考えることになりました。
それと私、作り置きがあんまり好きじゃないんです。肉じゃがみたいに、時間を置くことでおいしくなるものは別として、たとえばたらこパスタは、できたての方が絶対においしいですから」
クックパッドが上場した後は、新規事業の立ち上げやチームマネジメントなど、自らの能力のなさを感じることが続き、「これは一からやり直しだ」と、執行役の地位を捨てて退職。フリーランスとして活動をはじめると、クックパッドを成功させた小竹さんのもとにはたくさんの依頼が舞い込みます。
しかし……。
給料もアップし、時間の融通も効くようになったものの、クライアントの依頼に自らの成長チャンスを見い出せなかったことから、4年後、再びクックパッドに参戦。チームとして働くことに再挑戦したと言います。
そんな歩みからは、元専業主婦だったとは思えない、小竹さんの仕事への熱量を感じます。
「自分が心から夢中になる、楽しいことをするのが大好きなんです。仕事と料理以外、趣味と言えるものもないし、それを取ったら私に何が残る?って感じなんですよ。
私は一度離婚経験があるのですが、専業主婦からWebディレクターとしてキャリアを積み出した20代後半の頃、仕事に集中したいあまり、当時結婚していた家からカバンひとつで飛び出し、家賃2万5000円の学生用アパートで一人暮らしをはじめ、仕事に没頭しました。
当時は急速にブロードバンドが拡大し始めた時代で、インターネットがとにかく盛り上がっていました。頑張れば頑張っただけ自分も会社も成長する、そんな時期だったことも仕事に拍車がかかった要因だったと思います」
そうして15年近く、クックパッドを通して料理の変遷を見つめてきた小竹さんに、現代の食卓はどのように見えるのでしょうか。
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