真逆のキャラで物語を引っ張る2人の女性。
ヘアメイクもやはり、それぞれのキャラクターをよく表しています。


リカの癖毛風ヘアに見る“簡単には手なずけられない感”

 

リカのヘアは、令和の時代の「自由な女」感あふれるアクティブな印象のショートヘア。
潔くおでこを出しているところが、意志の強さを感じさせるところ。分け目はセンター。毛先が癖毛風に動いているのがよかったな。

社会人の女性が、こういった癖毛風のヘア(つまり、毎日違うニュアンスになる)をしているあたり、「毎日違う顔、するんですよ」感あって、そんじょそこらの男には、手なずけられない感じがする
枠にとらわれない。次から次へとくるくる表情が変わる。なんか、こんなところも、ハイジ感あるわけです。

 


さとみの今どき感ゼロな「耳かけワンレンロング」のズルさ


一方、カンチのハートはもちろんのこと、プレイボーイの三上くんのハートも持っていくのが、さとみ。女優さんは、石井杏奈さん。一瞬、小西真奈美さん? と見紛う感じの、幸薄そう顔。(すみません)

さとみのヘアは、いまどき天然記念物なみの、ワンレンロング。片方は耳かけで、片方はおろす。校則厳しい学校の中高生みたい。
生え際あたりでうねっている毛がまた、野暮ったくてスレていない感満載です。もちろん、黒髪。昨今、AKBや坂道にも存在してなさそうな、清純派ヘア。

これだけロングなのに、ヘアアレンジしているシーンは、ほとんどなかった。保育園で働くときは、ひっつめ一本結び。精一杯おしゃれした日でも、後ろでまとめただけのハーフアップ。化粧っけもほとんどない。

こういう女は、ずるいよね。「俺が全部教えてあげたい」ってなるじゃないですか。なにしてあげても「こんなの初めて!」って感動してくれそうじゃないですか。このあたりが、クララそのもの。

これだけだと、正直、ずるいなー、こんな女ずるいなあ……で終わるんですが。
このさとみ、ある時点から、がらっと「キャラ変」するのが、面白いところです。

 

ドラマの中盤まで、「たとえ彼が浮気していても、最後に彼が戻ってくる場所が私ならそれでいい」と、演歌みたいなことを言っていたさとみなのですが。途中からブチ切れて、「私にだって、自分の意志がある!」と、同棲中の彼の家を飛び出すわけ。
はかなげで折れそうな女性が、ここで突如、自立の道を選ぼうとするのです。

そのシーンを見て、私は思いましたね。
クララが立った!!
って。

自立したクララほど、無敵なものはない。
上品なのに芯は強い。
これ、モテ無双。

クライマックスでは、リカの元に駆けつけようとするカンチに「行かないで!」と体当たりするし。
数年後再会したリカとカンチには、余裕の笑顔で「二人でおしゃべりしてきたら」と見送るし。もうどっしり腰をすえた正妻の顔なわけです。あれは、完全にカンチ、尻に敷かれているはず。

と、いうわけで、ハイジとクララの恋バトルは、クララが圧勝してエンディングです。
私としては、いつかハイジにもハッピーエンドを! と叫びたいけれど、やっぱクララは永遠に無双だよなとも思った、29年ぶりの「東京ラブストーリー」でした。
 

次回は、「平成と令和の東京ラブストーリー、ここが全然違った」の話をしますね。

それではまた、来週土曜日に。

イラスト/白ふくろう舎
 
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