社会貢献となる寄付先を自分で選んでみる

コロナ禍でも地球温暖化対策のためにできる選択とは【社会起業家、田口一成】_img0
ミャンマーでの1コマ

もう一つ、ハチドリ電力をおすすめしたい理由があります。ハチドリ電力の場合、電気代の1%が何かの社会貢献活動へ寄付されるようになっています。その寄付先は自分で選ぶことができます。教育支援や動物愛護、環境活動。そこに自分の電気代の1%を寄付するということは、まさにどんな未来をつくりたいかを、自分で選ぶということです。

 

自身で寄付先を見つけることは意外と難しいと思いますが、ハチドリ電力の中にはその候補があります。電気代の1%がそこへ自動的に寄付されるという仕組みであれば、誰にでもできるのではないでしょうか。

自然エネルギーを使って、寄付をして、なんだか電気代が高くなりそうと思うかもしれませんが、安くなる人もたくさんいますよ(笑)。電気代のシミュレーションができますので、ハチドリ電力のウェブサイトでシミュレーションだけでも試してみてもらえればと思います。

そもそもですが、電力会社を変更できると知らない方も多い。電力会社を変えることをご存知でも、その作業がたいへんだと思っている方も多いと思います。でも、実際は工事もありませんし、ウェブサイトで必要事項を入力するだけで終わり。今の電力会社に解約の連絡をする必要もありません。めちゃくちゃ簡単なのにインパクトが大きい。

たとえば、車を電気自動車にするのはたいへんな上にお金もかかります。でも、電力会社を変えることは、プランにもよりますが、安くなることもあるわけです。社会貢献活動の一歩目としてはとてもやりやすいと思います。さらに、ハチドリ電力を通じて支援している団体から、月に一度、活動レポートが送られてくるため、社会貢献活動についても知ることができます。そこから自分の関心を広げていけばよいのではないでしょうか。
 

エシカル消費ってなんですか?


服が好きな人であれば、環境負荷が大きいものより、綿をつくるために農薬を使用していない100%オーガニックコットンのものを選んでみよう、リサイクル素材のものを使ってみようなど、自身の選択によって、良い社会システムをつくるほうに参加するか、持続的でない社会システムをつくるほうに参加するかが選べる時代だと思います。

まずは、自分がお金を払っている商品やサービスの背景を知るところから、スタートするのがよいのではないでしょうか。自分の行動が社会課題の解決に結びついているのか考えながら、お金のつかい方を決める。これが、エシカル消費と呼ばれるものです。

僕は、この世の中はいい人ばかりだと思っています。「無関心」という言葉を使う人もいますが、社会課題に関しては「未認知」の人が多いだけだと思います。ただ知らないだけなのです。地球を汚したいと思って、電気をつかったり、服を買ったりする人はいないでしょう。

そうではなく、「安くてラッキー」や、「かわいい」と思って買っているのですよね。安さの背景にある児童労働などを知って、それでもラッキーと思うわけではないでしょう。

ですが、そうした商品やサービスの背景を一回知っただけで変わるほど、人間は単純なものではありません。やはり、何度も伝えられて、リアルな情報に触れて、初めて行動を改めようとする。人間とは、そういう生き物なんです。だから、何度も伝えていくことは大切ですし、それはメディアに僕が期待している役割でもあります。

一方で、消費生活者である僕らも基本的なことを知らなければなりません。地球温暖化ということの背景を知らないと、目の前の商品がいいのか悪いのか判別できません。児童労働に関しても、実際にその現場を見ると、それによってしか収入を得ることができないということもあるので、それ自体を否定しにくいケースもあるのが実情です。

だけど、子どもの頃から工場で働き、教育を受けないままだと他の選択肢はなくなってしまいます。収入が少なければ、その貧困のループからはずっと抜け出せないのです。こういうことは現場を見ないとなかなか語れないことで、これをどうやって多くの人に知ってもらうかは、僕たちの大きなテーマです。でも、知ったら、人々はみな行動を変えてくれる。僕はそう信じています。