ライターさかいもゆるがアラフォー以上で結婚したカップルへのインタビューを通じて、結婚とは、夫婦とは何かを考える連載。前回に続き、25歳での婚約破棄を経て、43歳で10年来の男友だちと結婚した里佳子さんへのインタビューです。

10年来の飲み友達と男女の仲に。友達以上恋人未満から結婚を決意させるまで_img0
里佳子さん、47歳。渉さん、48歳。10年間飲み友達だったふたりが、突然恋に落ちた理由とは……?


セックスはできるのに、手は繋げない


「恋愛はタイミング」、そんな言葉があるけれど。もしかしたら恋ってちょっと読書に似ているのかも。最近そんな気がしています。

ずっとそばに居たある人の魅力に気づいて恋に落ちることと、昔読んで良さが全くわからなかった小説の良さがある日突然理解できるようになることには、どこか共通点があるように思うから。

今回取材した里佳子さんも、10年間飲み友達だった渉さんの素敵さに、あるとき、ふと気づいて急速に惹かれて行きます。それはモテる彼女が、多重人格者だった婚約者との婚約破棄による傷心や、モラハラ男の押しの強さに疲れる恋愛などの、様々な経験を経て来たからこそ。

里佳子さん:異性として全く見てなかったわけではないんですよ。気になる存在ではあったんです。だけど、何と言っても彼は知り合った当初、結婚していましたから……。

お互いに恋愛スイッチが入り始めたことに何となく気づいていたある夜。お酒の勢いを借りて、ふたりは初めて一線を超えたのです。

そこからは一気にトントン拍子でーーとは実はならず、友達以上恋人未満の関係がさらに続きました。その間に、里佳子さんにまたまた他の恋人ができたことも。それは、里佳子さん曰く「付き合わなければこのまま付かず離れずの仲の良い関係を続けられる。だからお互いに、言い出すのが怖かったんだと思う」から。

一緒に映画を観に行っても、手を繋ぎたいのに繋げない。

 

里佳子さん:「中学生かよ!」って自分にツッコミたくなりましたよね(笑)。だけど、歳を取れば取るほど、人って逆に恋愛では純粋になっていく気がします。セックスはできるのに手は繋げない。そういう人、結構居るんじゃないかな。

さかい:すごくわかります……(切実)!

私は40歳にしてバツイチになって恋愛を再スタートしているのですが、自分も含めて、仕事では冷静になれるいい大人たちが、恋になると途端に不器用でナイーヴになってしまう場面をたくさん見てきました。

「大人なのに」ではなくて、「大人だから」こそ、傷つくのが怖くて臆病になってしまうってところはあるのかも。下手に経験を積んでいる分、いろんなことを先回りして妄想しちゃいがちになりますし。

結局、痺れを切らした里佳子さんの方から、自分の42歳の誕生日に彼にリクエストをして祝ってもらい、「私たち、どうなんですか?」とクロージングをかけて付き合い始めたそう。

こうやって聞いていると、渉さんは常に他の男性たちを渡り歩く里佳子さんを待ってくれていて、あとは里佳子さんが腹を決めるだけだったかのようにも見えますね(笑)。


「奥さん」と話しかけられるたびにモヤモヤ


ふたりはすぐに同棲を始めたのですが、年齢的に結婚願望が芽生えた里佳子さんに対して、バツ2の渉さんは「付き合っても結婚はしないで事実婚でいいんじゃない?」という考えの持ち主。2度の離婚はどちらも妻の浮気が原因だったため、女性を心からは信用できないというのもその理由だったようです。

里佳子さん:「子供もいないのに結婚する意味ある?」と言われてしまって。だけど私は仕事柄いろんな結婚式を見てきたからこそ、子作りだけが結婚ではないと思っていたんです。

いざ事実婚状態になったものの、マンションの管理人さんや旅行先の宿の人に「奥さん」と話しかけられるたびにモヤモヤが募る日々。さらには、優しい両親が「結婚はどうするんだ?」と言ってこないのも余計に辛い。

里佳子さん:何も言わないけど、父は絶対にバージンロードを歩きたかっただろうなあ、とか。この仕事をやっているのに、自分は好きな人と結婚式を挙げないというのも悲しかった。

それがあるとき、里佳子さんの兄夫婦と父親が、それぞれ立て続けに泊まりに来たのがきっかけで、渉さんは「この人たちと家族になりたい」と思ってくれるように。

極め付けは、里佳子さんの友人が遊びに来て、「今、里佳子が入院してICUに入っても、ふたりが夫婦じゃない限り、渉さんは里佳子に会えないんだよ」と言ってくれたこと。

里佳子さん:その友人がクロージングしてくれて、無事結婚が決まりました。

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周囲の人たちの行動が、ナイス・アシストすぎる……! 結婚に二の足を踏む彼が居る方は、この「里佳子方式」でクロージングを迫るといいかもしれません。

長くなったので、感動の晩婚ウエディングのお話は次回に続きます。

イラスト/いとうひでみ
構成/川端里恵(編集部)

 

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