ライターさかいもゆるがアラフォー以上で結婚したカップルへのインタビューを通じて、結婚とは、夫婦とは何かを考える連載。前回に続き、25歳での婚約破棄を経て、43歳で10年来の男友だちと結婚した里佳子さんが2度結婚式を挙げた理由とは?

里佳子さん、47歳。渉さん、48歳。


「誰のための挙式なのか」を考えた


1年同棲しても結婚に「うん」と言わなかったバツ2の彼が、ようやくプロポーズしてくれたのは44歳のクリスマスの夜。

里佳子さん:モツ鍋食べて、家に帰ってきてからお互いに手紙とプレゼントを交換したんですが、彼からは「いつもたくさん愛してくれてありがとう。結婚しよう」って一行だけのメッセージが。

 

モツ鍋でにんにく臭いし、メイクも落とした風呂上がりのすっぴん姿で、ムードも何もありゃしないプロポーズ(笑)。だけどもう結婚はないと思ってたから、嬉しくて大号泣しちゃいました。

お相手の渉さんは3度目の結婚とあって、向こうの両親は心配したそうですが、里佳子さんは「この歳で初婚の方が色々心配でしょ」と気にせず。

そしてここからがおふたりの結婚のとても素敵なところなのですが、里佳子さんは入籍後、結婚式を2回挙げたのです。1度目は、「ふたりの誓いのため」。そして2回目は、「みんなの前で夫婦になることを宣言するために」。

ウエディング業界に従事する里佳子さんにとって、結婚式に対する思い入れは元々並々ならぬものがあったのですが、それに拍車をかけたのが、あるお客様から聞いた、ハワイ島でのウエディングの話。

里佳子さん:ハワイ島に聖地があり、そこで原住民の方によるハワイアン・トラディショナル・ウエディングをふたりっきりで挙げてきた、と言うのです。それを聞いて、直感で「これだ!」と思いました。

里佳子さんが長年仕事で様々な結婚式の形を見てきて、ここ最近感じていたこと。それは、SNS映えを気にするお客様が増え、「いったい誰のための挙式なんだろう」ということ。

私たちは晩婚で、年齢的に子供は作らないだろう。かすがいになる子供が居ない分、この先、夫婦生活で何か起きても、ふたりきりでお互い、目をそらさずに向き合って生きていかなければならない。

そう考えたときに、自然と「ふたりだけでの挙式が必要」という思いが及んだそう。これが、一度目の挙式。

里佳子さん:私たち40代で結婚する夫婦って、これから老いて行くことをお互い一緒に味わないといけない相手じゃないですか。だからこそ、ふたりきりの挙式をお勧めしたいんです。


ハワイ島の聖地でのふたりきりのセレモニー


ハワイ島の聖地で行われたウエディング・セレモニーには、里佳子さんは現地のシャーマンが織った上質なリネンの真っ白なワンピースにビーチサンダル。渉さんはユニクロのリネンのシャツとハーフパンツにこれまたビーチサンダルという、「飾り気のない、いちばん本人の素が出る服装」で。

 

そしてここからがとても里佳子さん「らしい」のですが、ふたりは挙式前に、水着姿でビーチに横たわって、夫婦としての「誓いのセッション」を行なったのです。

このセッションでは、

・これまでの人生でいちばん感謝したいこと、人
・お互いにどんなところを好きになったのか
・人生で大事にしたいもの
・これから3年・5年後にどうなっていたいか

などなど、言わば、〝夫婦としてのすり合わせ〟を実践。

このセッションで、お互いの理解と覚悟が深まり、里佳子さんは「人生の方向性が同じ男性に会えて良かった」と心から思えたと言います。

セレモニーは、カメハメハ大王の子孫というヒーラーの立ち会いの下、サンセットのビーチで、お互いに書いた手紙を読んで誓いの言葉に。手紙を読みながら、ふたりは感動して大泣き。

里佳子さん:そういう意味でも、この式はふたりだけで良かったと思います。男性はやはり人目も気になるでしょうけど、立会人しか居ないので心ゆくまで感情を解放することができました。

そして2度目の式は、東京の一流ホテルで。

 
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