ブランドにこだわらないセレクト

 

春夏のトップスも襟開きにこだわるといいます。

「私、Tシャツが似合わないんです。だから、Vネックのコットンセーターとか、襟元がきれいに開くシャツとか。そのときの雰囲気で選びますね」

取材の日も私服の白いシャツをさりげなく着こなす姿が印象的でした。小林さんといえば、のイヴ・サンローランかなと思ったのですが……。

「今日のシャツはリュンヌという日本のブランドのものです。小さなブランドだけれど、好きなんです。タイも付いたデザインで、これにVネックのセーターを着てもいいですし、冬ならボタンを一番上まで止めてもいいと思います」

襟元には、Vゾーンを縁取るようにパールのネックレスをあしらっています。

「これは普通のパール屋さんで手に入れました。以前は留め具を後ろに回して普通に着けていたんです。でも先日、ミキモトとコム・デ・ギャルソンのコラボのパールのネックレスで、留め具を前に持ってきているデザインを見つけて。それがとても素敵だったので、マネして着けてみました。私、ミーハーなんです(笑)」

そしてパンツはブルネロ クチネリです。

「これはちょっと高かったんですが、気に入ったので買ってしまいました。セールですけれどね。私はオンラインでは買い物ができないので、友人の娘さんにお願いすることもありますが、基本的にはお店まで買いにいきます。もちろん買うのはセールです(笑)」

 
 

④好きなものと似合うものを選ぶ

 

年齢とともに体型も変わり、何を着たらいいのかわからず困っている人も多い40代。洋服を素敵に着こなす秘訣はあるのでしょうか。

「年を取ると似合わないものがどうしたって増えていくでしょう。微妙な違いで似合わなくなる。それこそ年の功でそういうことがわかってくるんです。そこをうまくよけて、似合うものだけを着ることですね。
たとえば私の場合は、胸にいろいろ付いているデザインは似合わないなとか、Tシャツはだめだなとか。
それほど似合わないけれど、どうしても好きで着たいというアイテムなら、着こなしで工夫してみるんです。たとえばそれがトップスなら、ボトムにすごく派手な色を持ってくるとかね」

それこそユニクロからエルメスまで、好きなものはブランドにこだわらないという小林麻美さん。そのワードローブは、似合うものと好きなものだけだといいます。

「どんどん少なくなってきています。友人に『え、これだけ?』といわれたこともあるほど。でも少ないほうが絶対いい。組み合わせもラクですし、失敗がないですから。
子育て時代は、ストレスも溜まっていて、その解消に洋服を買ったこともあります。どこで着るんだろうと思いながら。もちろんセールだけれどね(笑)。そういった着もしない服がいろいろあったけれど、今はもう、どんどん少なくしています」
 

⑤ピンタレストで情報収集を


スタイリングの参考にしているものはあるのでしょうか。

「ここ2年ほど参考にしているのは、ピンタレストです。海外のスナップで、いいなと思うものがたくさんあって、検索もしやすいんですよね。たとえばブリジット・バルドーと入力すれば昔のものもずらっと出てきますし、好きな写真も保存できる。しかも無料。こんなに見てお金を払わなくていいの?、という感じですね。
私が読むような雑誌だと、なにか取り決めがあるのだと思いますが、上から下まで一つのブランドだけでコーディネートされていることが多いですよね。でもピンタレストでは、いろいろと組み合わせているでしょう。だからヒントになるんです」

小林麻美さんが語ってくれたのは、美容もファッションもシンプルなルールばかり。年齢を重ねるほどにオーラを増す美しさは、その自然体の生き方にあるのかもしれません。

<書籍紹介>
『小林麻美 第二幕』

延江 浩 (著) 朝日新聞出版

松任谷由実がプロデュースした名曲「雨音はショパンの調べ」で鮮烈な印象を残し、
「女が女に憧れる」(ユーミン)というロールモデルを作った伝説のミューズ、小林麻美。
しかし、1991年に突如「引退は自分なりの禊ぎだった」と芸能界から身を引き、極秘出産、結婚。
その真相とは?
そして2016年に四半世紀ぶりに「クウネル」表紙で復活するまでの舞台裏、
ユーミンとの友情、夫である田邊昭知氏との日々……。
小林麻美自身が初めて語り尽くした評伝。

撮影/目黒智子
取材・文/髙橋真理子
構成/片岡千晶(編集部)

前編「伝説のモデル小林麻美「育児が終わり…60代の人生のテーマは自立と解放」」はこちら>>

 
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