加齢臭はおじさんだけの悩み……と思っていたら、どうやらそうではないよう! 女性にとって身近で気兼ねなく相談できる生涯のかかりつけクリニックを目指し、婦人科診療とエイジングケアの最先端治療をおこなっている『成城松村クリニック』の松村圭子院長が、女性の加齢臭について教えてくれました。
TAMUさんからの質問
Q. 加齢による女性の臭いの変化について教えてください。
歳を重ねていくと、女性ならではの臭い(?)がすごく気になります。おりものの臭いなのか、何なのか……。最近特にです。他に体臭など、女性の加齢と臭いの変化について教えていただけますでしょうか。また、何かできる対策はありますでしょうか?(50歳)
特別ゲスト 松村圭子先生の回答
A. 女性にも加齢臭はあります。抑えるには皮脂の抗酸化ケアが有効です。
加齢臭っておじさんの臭いのイメージがあると思うのですが、女性も更年期あたりになると加齢臭が出てきます。
加齢臭は皮脂の酸化が原因なのですが、この「酸化」が加齢とともに起こりやすくなってきます。女性の場合、女性ホルモンのエストロゲンに抗酸化作用がありますから、女性ホルモンの分泌が盛んな時期には臭いは出にくいもの。ですが閉経によりエストロゲンの分泌が減ると抗酸化力が低下していきますので、皮脂も酸化しやすくなります。加齢臭というのは、決して男性だけのものではないのです。
ただ、TAMUさんは「女性ならではの臭い」を心配されていますね。ですが、婦人科的にみて特にそういった臭いというものはありません。おりものの臭いだと思われているのかもしれませんが、歳をとるとおりもの自体が少なくなっていきます。それに臭いは空気に触れて時間が経ち、酸化することで出るわけで、おりもの自体にそもそも強い臭いがあるわけでもありません。たしかにおりものは酸性なので酸っぱいような臭いは多少あることはあるのですが、歳をとるとそのおりもの自体が減っていくわけですから、周囲が気づくほど臭うことはまずないはずです。
ただし加齢臭というのは少なからず出てくるものですから、抗酸化ケアというのは大事になってくるでしょう。酸化の原因には、まずストレスや睡眠不足といったものが挙げられます。ですから規則正しい生活を送ること、そしてストレスを溜めないよう心がけることが不可欠です。また、抗酸化作用のある食べ物をとるというのも一つの手です。おすすめは、ビタミンA、C、Eの含まれている食材。さらに緑黄色野菜でポリフェノールを摂ることも心がけてください。そのように日々の生活を整えることで、しっかり酸化をおさえるようにしましょう。
反対に、皮脂の酸化を進ませそうな食べ物……、つまりたんぱく質過多な食べ物などはあまりおすすめしません。また、とくに動物性の脂肪は皮脂の分泌を促しますから、それによって皮脂が増えて酸化が起こると、臭いの原因になってしまうかもしれません。ただ、女性は皮脂の分泌自体が男性ほど多くはありませんから、過剰に心配することはないと思いますよ。
念のためですが、婦人科系の病気で臭いの伴うものについてもお伝えしておきますね。細菌性腟炎でしたら、魚の腐ったような臭いのおりものが出てくることがあります。TAMUさんのおっしゃっている臭いがおりものの臭いなのか分からないので何とも言えませんが、もし当てはまるようでしたら、一度婦人科を受診されてみてください。
- 松村圭子(まつむらけいこ)1969年生まれ。広島大学医学部卒業。広島大学産婦人科学教室入局後、2010年に成城松村クリニックを開業。「女性にとって身近で気兼ねなく相談できる生涯のかかりつけクリニック」を目指して、婦人科診療とエイジングケアの最先端治療をおこなっている。また『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』(東京書店)、『女性ホルモンを整えるキレイごはん』(青春出版社)など著書も多数。 この人の回答一覧を見る
- 山本 奈緒子1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『FRaU』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る
この記事は2020年8月8日に配信したものです。
mi-molletで人気だったため再掲載しております。
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