運動不足に夏バテと、心身ともに不調をきたしやすいこの季節ですが、コロナ禍において免疫力の低下はなんとしても避けたいところ。そんな今、話題となっているのが小林暁子さんの著書『免疫力を上げる健美腸ルール ウイルスや菌に負けない体をつくる』 です。

医師として、便秘外来で多くの患者さんの指導を行ってきた小林先生は、腸内環境が良好な腸「健美腸」を目指すことで、ウイルスや菌に負けない健康な体がつくれるといいます。女優やエグゼクティブも実践する小林先生のプログラムから、免疫力アップのための“健美腸ルール”を特別に一部抜粋してお届けします。

 

小林暁子さん:小林メディカルクリニック東京院長。医学博士。順天堂大学医学部卒業後、順天堂大学総合診療科での経験を経て、便秘外来・内科・皮膚科・女性外来など全身の不調に対応するクリニックを開業。人気の便秘外来では、トップアスリートやエグゼクティブなども含めて2万人(のべ15万人以上)の患者の治療に携わり、高い実績を上げている。TV出演、講演などでも活躍中。

 

免疫とは、ウイルスや細菌などの病原体から身を守るための防御システムであり、「自分」と「他人」とを見分けて、「他人」を排除するしくみのことです。私たちの体内では、いろいろな免疫細胞が役割を持って、体の防御にあたっています。

免疫には、大きくわけて2つの種類あります。それは「自然免疫」と「獲得免疫」です。「自然免疫」は、もともとヒトの体に備わっている免疫。「獲得免疫」は、一度細菌やウイルスに対処したり、ワクチンを接種したりすることによって得られる免疫です。

 

私たちの健康を維持するために大切な免疫力。けれど、私たち1人ひとりの免疫力には、高い、低いの差があり、そこには腸の存在が大きく関わっています。ここでは、腸と免疫の関係を見ていきましょう。

私たちが生命を維持するためには、当然のことながら「食べる」ことが不可欠です。けれど、食べ物を口から体内に入れるということは一方で、異物や病原体も体内に侵入しやすくなるということ。それに対抗するために生物が作り上げたのが、免疫細胞と免疫システムです。

免疫細胞は、骨髄で生まれ、その後役割が決まると、いつ病原体が入り込んでもいいように、体の各所に配置されます。彼らの大本営が置かれているのが、まさに「腸」。人の体の全免疫システムの約70%は、腸に集中しています。

つまり、私たちの免疫力は腸内環境の質に左右されてしまうのです。だからこそ免疫細胞たちが24時間元気で働けるように、理想的な腸内環境を維持する必要があります。

では、腸内環境を整えるには、どうすればよいのでしょう。
第一に大切なのは何といっても、食事です。

食べたものから栄養分を取り込む器官が腸である以上、腸へとダイレクトに影響を及ぼすのは、日々、私たちが口にしているものです。腸内環境をよくするためには、きちんと睡眠を取ったり適度な運動をしたりするなどの生活習慣の改善も大切ですが、誰もが今すぐにでも自分でコントロールできるのは、食事でしょう。