納豆は?花岡岩は?日光は?お湯は?乳酸菌は?

「コロナうがい薬問題」から医師が考える「情報の感染力」#コロナとどう暮らす_img0
 

これと同様の仮説として、「納豆が予防に有効」「花崗岩がコロナに効く」「日光を浴びるとコロナが消える」「お湯を飲むのが良い」「乳酸菌が予防につながる」など実に様々な「仮説」がまるで真実のように流されてきました。いずれも有効性が証明された事実はありません。また、「マスクは有害である」などといった悪意のあるデマも見られました。

 

「仮説」自体が悪者なのではありません。仮説は研究をする者にとって宝物であり、こういった仮説を検証する中で、新たな真実が導き出されます。しかし、仮説を「真実」と言ってしまうと大きな誤解につながり、場合によってそれが命を失うことにだって繋がりかねません。

一見安全なことでも、深く信じられてしまえば、多くの人に”false sense of security”(偽の安心感)を与え、予防行動を怠らせてしまうということにも目を向ける必要があります。それによって、より多くの人が感染し、命を奪われてしまうかもしれないのです。
 

悪意なく「嘘」が拡散されてしまうメカニズム


SNSなどでデマや誤報が拡散されてしまうのは今に始まったことではありません。しかし、ここまでその影響の大きさが実感される経験は過去になかったように思います。

ここには、このウイルスがまだ昨年の12月に見つかったばかりの未知のものであるということが大きく影響しているでしょう。まだ分かっていないことがあまりにも多い。にもかかわらず目の前で起こっていることがあまりにも大きい。このギャップ、そしてこのギャップに対する不安が、デマや誤報の巣窟となっているのです。

また、ニュースを見る時間が増えたことも影響をしているのでしょう。ある報告によれば、世界中の過半数の人が今回のパンデミックに直面して、ニュースを目にする時間が大幅に増えたことが明らかとされています。その分だけ「騙される機会も増えた」と言えます。

間違った情報の拡散ということについても、同時進行で研究が進んでいます。ある報告によれば、SNSで誤情報が拡散されるのは、必ずしも悪意によるものではありません。ただ、その情報の正確性について、そもそも考えることなく他者に拡散するケースが、実は最も多いようなのです。

すなわち、人に判断能力や判断材料がないわけではなく、真新しい情報を見つけては、反射的に情報を拡散してしまっている傾向があるのです。

また、誤った情報の拡散は、SNSに情報源を依存している人でより多く行われることも知られています。有名人が言っているから、「いいね」が多く集まっているから。そんな理由で拡散されてしまっているようです。

しかし、科学的な根拠があるかどうかは、「いいね」の数や有名人が言ったかとは無関係です。ただそれが目を引いた、というだけです。

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