２、３本目の投資信託、初心者向けの７選【モーニングスター朝倉智也さん】

株と債券はどちらがいいの？話題の金は？

片岡：投資信託で国が発行する「債券」を買った方がいいという話も聞きますが、株だけでなく債券も買った方がいい理由とはなんでしょうか。

朝倉：株に比べて「債券は安定しているから」ですね。日本国債もそうですが、満期まで持てば100％戻ってくるという仕組みです。外国の債券では、通貨をその国の通貨に変えるため、為替リスクはありますけどね。
ただ、今は債券の金利が低いのであまり儲かりません。アメリカの10年債でも金利0.60％ほどで、「債券なんかいらないのでは」という考え方も増えています。

ただし、5年間や3年間など、比較的短期で投資をする方は、「株100％」の投資では世界経済の波に大きな影響を受けるため、株の比率を下げるという意味で、債券を入れた方がいいと私は思います。

また、10年程度の長期スパンで考えていても、「すべて株で買うのは怖い」という方もいるでしょう。その場合は、何割か債券に投資する投資信託にして、リスクを分散させてもいいと思いますよ。

片岡：なるほど、そのあたりは自分の考え方や投資のスタイル次第でもあるのですね。

最近値上がりしている「金」が気になったら？

西山：投資未経験の方から、「今すごく金（きん）が上がっているから、金を買いたい」という話が最近出ます。コロナ禍でだいぶ金が高くなっているので、今から大きなお金を突っ込むのは危ないですよね？

朝倉：仮想通貨でも同じですよね。3年前に高騰したときに高値で買って失敗したという人も、いらっしゃいますよね。

投資資金が100万円あったとして、100万円全額で金を買うのではなくて、10万円など、資金の一部で買うことが大切です。また、金を組み入れた投資信託を１本、積み立てで買うのも手です。例えば、「SMTゴールドインデックス・オープン（為替ヘッジあり）」という投資信託が、コストが低めで（信託報酬0.2％）、ひとつの選択肢でしょう。

片岡：金の投資信託もあるのですね。気になるものがいっぱい出てきますね。

西山：投資信託は一つ買うと、次々調べたくなってラインナップが増えますよね（笑）。

世界のトレンドはどんどん移り変わっている

片岡：「今後日本は大丈夫だろうか」という不安があった場合、投資先として日本株をのぞくのもアリでしょうか。

朝倉：もちろん、そういう見方もできますが、日本でもこれからベンチャーなどで有望な会社がどんどん出てくると思います。
ただし、日経225や東証株価指数（TOPIX）という指数には、日本のたくさんの企業の株が入っていますが、イマイチな会社も入っています。とはいえ、日本では成長が見込めないと言われながら、アベノミクスで50％くらい株価が上がったりもしましたね。

その国の経済規模を示すGDP（国内総生産）は、中国には抜かれましたが、とはいえ日本はまだ世界で第3位の位置にいるので、資産のうち日本株が入ってもいいと思います。「世界の株式の時価総額」の割合でいえば、日本株は1割にも満たないので、日本株を無理やり2割も３割も増やす必要はないと思いますが、少し入る分にはいいのではないでしょうか。

片岡：分散先の一つとして、まだ日本はあり、ということですね。

朝倉：投資先の国や銘柄を選び、売買のタイミングを考えるのは難しいので、世界の株式時価総額の割合に応じて、買っていくような方法もいいと思います。

世界を引っ張っているような会社は、10年ごとに見ると主役は大きく変わってきています。今は先ほどのGAFA（グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン）などですが、2000年代の半ばくらいは、中国の銀行や石油会社などが栄えていました。2000年ごろは、マイクロソフトやインテル、GE、シスコといった会社で、もっとさかのぼって1980年代は、日本の企業が占めていましたね。

西山：トレンドがどんどん移り変わっていますね。

朝倉：はい、トレンドをつかみながら、「次の主役はどの会社か」と選ぶのは大変。今回のコロナで、「やっぱりGAFAは安泰だね」と思うかもしれませんが、今後AIやブロックチェーンなどの技術が進めば、GAFAもどうなるかはわかりません。
株価の変動は「神のみぞ知る」という部分も大きいですから、「将来の株価がわかる」という人がいたら、その人は信用しないほうがいいです（笑）。

西山：やはり、投資先は幅広く分散させておくことが大切ですね。

 

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