このところ、火球(流星の中でも極めて明るいもの)が目撃されるという出来事が相次いでいます。先日も、関東地方で火球が目撃されたというニュース報道がありましたが、飛行機雲と火球を取り違えたものではないかとの騒ぎになっていました。なぜ、この時期に火球がたくさん目撃されるのでしょうか。

 

火球というのは基本的に明るい流れ星のことを指しますが、一般的にマイナス3等級もしくはマイナス4等級以上の明るさを持つものを火球と分類することが多いようです。マイナス3等から4等というと、金星や火星の明るさに相当しますから、都会の夜空でも結構、目立つはずです。

流星(流れ星)は宇宙空間に存在する極めて小さいチリが地球に落下する際、大気との摩擦で高温になり、プラズマ発光したものです。基本的に小さなチリですからすぐに燃え尽きてしまい、ごくわずかな時間しか光りませんし、明るさも1等級から3等級と一般的な恒星と同じ明るさのものがほとんどです。

しかし、ごく希にサイズの大きいチリ(もしくは石)が落下した場合、比較的長時間、大きな光を放つことがあり、火球と呼ばれています。もし落下物が完全に燃え尽きなかった場合には、地上に隕石として落下することもあります。7月2日に関東地方で目撃された火球は、その後、千葉県で隕石が回収されたことから、完全には燃え尽きなかったようです。

筆者は天文の専門家ではないのですが、なぜ、こんなに流星に詳しいのかというと、子どもの頃から天体観測(特に流星観測)が趣味のひとつで、これまでに何千もの流星を見てきたからです。

流れ星をただ見ていて飽きないのかと思われるかもしれませんが、まったく飽きません。その理由は、流れ星には色や光り方などに様々な表情があるからです。

多くの流れ星は白い色をしていますが、青っぽいものもありますし、赤や黄色という場合もあります。色が異なるのは落下物の中に入っている元素の種類が異なると、プラズマ発光の色が変わるからです。今回、話題になっている火球も何度も見たことがあり、もっとも明るいものですと月の光に近いくらいの明るさでした。

月明かりと同程度ということになると、自分の後ろには影が出来ているはずですが、大きな流星が現われると当然、そちらに意識が集中してしまいますから、影が出来たかどうかまでは確認できていません。

 
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