46歳という年齢を考えますと、たとえば1、2か月後にはホルモン値がドーンと下がる、というような変化が起こってもおかしくはありません。そういう意味では、今は完全なる更年期ではないといっても、婦人科を受診して、この時期なりの適切な治療を相談されてみてもいいのでは、と思います。

 

というのも婦人科を受診されたならば、本格的にホルモンが下がってないなら下がっていないなりの治療を提案してくれるはずですから。私のクリニックなら漢方薬かプラセンタの処方をおこなうことが多いです。それでいざホルモンが下がったときにはホルモン補充療法を検討する、というのが根本的にはお勧めです。

 

ホルモン補充療法は、一気に減った分の女性ホルモンを少し足してあげることで体を安心させてあげる、というものです。更年期はホルモンが急激にガクンと減りますから、脳がびっくりしてしまうわけです。それで脳がパニックになり、自律神経を上手くコントロールできなくなり様々な自律神経失調症状が出る。だからちょっとホルモンを与えてあげて脳を安心させてあげる、という治療が有効になります。

そして、いつその変化が起こるか分からないというのが更年期です。おかりんりんさんも今はふらつき、首肩こりが主な症状のようですが、本格的な更年期に入ると、また新たな症状が出てくることもあるでしょう。ですから、症状が出てきて辛くなったときは、早めに婦人科を受診されるのが良いと思います。

ただこれが不思議なもので、辛い症状が出始めていたので検査を受けたけれど、数日してその結果を聞きに行った時にはちょっと良くなっていたりするのです。前回は「辛くてたまらない、何とかしてほしい!」と言う状態だったのが、次に来られたときには「少し治まってきたので、もう少し様子を見ます」という方も少なくないのですよ。これもまた更年期というものなのです。調子が悪くなったり、ちょっと持ち直してみたり……。ホルモンの“急低下”というよりは、“急変動”というのが、より正しい言い方ですね。ホルモンが減ることで「ホルモンを分泌しなさい!」という指令が脳から出され、また持ち直したりするからです。

それでも、脳がどんなに指令を出しても持ち直せなくなる、つまりホルモンが分泌されなくなってしまうのが閉経なのです。そこまでの道のりは、持ち直したり持ち直せなかったり。それゆえピンポイントでのホルモンの数値だけでは「更年期です」と判断できないこともあります。まず、治療を開始される基準としては、ベースに「しんどい」があるかどうか。おかりんりんさんも、「ホルモン的にはまだ更年期じゃないから」と思わず、“辛さ”を基準に婦人科を受診し、相談されてみてください。

PROFILE
 取材・文/山本奈緒子
この記事は2020年9月19日に配信したものです。
mi-molletで人気があったため再掲載しております。

 

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