飛行機で、足のむくみが発生する3つの理由

 

では、続いてどのような病気がむくみの原因になるかを考えていきましょう。これは、これまでご説明してきたメカニズムを考えてみると分かります。

例えば、海外旅行をした経験を振り返ってみてください。エコノミークラスの座席に座り、10時間のフライトを過ごさなければならなかったとします。この時、数時間したところで足を触ってみると、足のむくみがとてもひどくなっていることに気がついた。そんな経験はないでしょうか。

飛行機に乗る事だけでも、むくみの原因になります。ここにはいくつかのメカニズムが関与しています。

一つは、座った姿勢で足を低い位置に保ち続けていることに原因があります。重力の影響で水は体の下に位置する足の方向に移動しやすくなり、血管の圧が高まります。すると、血管の外に水が溢れていくのです。

また、足の動きが少なくなることも原因となります。足を動かすと、筋肉が伸び縮みしますよね。この足の筋肉の伸び縮みは、実は血管にとってポンプの役割をしてくれています。このポンプの助けによって水が心臓の方向へと汲み出されていっているのです。しかし、飛行機でじっとしていると、足の動きが失われ、水を汲み出すポンプが機能しなくなるので、水がたまりやすくなります。

さらに、飛行機の中は気圧の低い環境になります。このため、周囲からの圧を失った血管から、やはり水が漏れ出しやすくなります。

このような原因が重なって、飛行機に乗ると足がむくみます。気圧の影響はありませんが、長距離バスや新幹線の移動でも同様の理由でむくみが起こりえます。
 

 

「エコノミークラス症候群」も、むくみの原因に


飛行機に関連して言えば、かつて「エコノミークラス症候群」と呼ばれた深部静脈血栓症という病気も、足のむくみの原因となります。エコノミークラスで旅をするとそもそも足がむくみやすいことはお伝えした通りですが、この病気の場合には、静脈の循環が悪くなることで静脈の中に「つまり」が生じてしまいます。このつまりは、血液の塊で、血栓と呼ばれます。血栓ができてしまうと、静脈の行き先が閉鎖されてしまうので、下流で渋滞が生じ、むくみが起こります。しかし、先ほどご紹介した単純なむくみとは異なり、片側の足で起こることが多いので、必然的にむくみには左右の差を見ることが多くなります。また、血栓ができた側の足に痛みが出ることでも区別ができる場合があります。


関連記事
血圧を下げる6つの方法。「コロナで高血圧の治療を先延ばし」の危険度」>>