妊娠や肥満でもむくみが出るし、高血圧の薬やピルが原因になることも。

 

飛行機の話題から少し離れてみると、足のむくみは、例えば妊娠や肥満でも出やすくなります。これは、お腹の中の胎児や脂肪の重みによって、お腹の中の血管が圧迫されることによります。これにより、下流である足の血管で圧が高まり、水が漏れやすくなります。

また、足のむくみは薬が原因で出ることもあります。その代表例が、カルシウム拮抗薬と呼ばれる種の血圧の薬です(参考2)。アムロジピンやニフェジピンというような薬を飲み始めてからむくみが出るようになったという場合、それらの薬が原因の可能性があります。実際、血圧の薬が原因のむくみでご相談にいらっしゃる方は非常に多いと感じます。

加えて、ピルもむくみの原因になりえます。女性ホルモンには、体に塩分をため込むような作用があるので、女性ホルモンで構成されるピルを飲むと塩分をため込み、むくみが出やすくなります(参考3)。

これは、生理前の時期にも同じことが言え、排卵前後の時期には女性ホルモンの分泌量が高まるため、むくみが出やすくなります。生理周期に一致してむくみが出やすくなることを感じているのであれば、それは女性ホルモンが原因かもしれません。

また、アルコールもむくみの原因の代表例です。これは多くの方が経験したことがあるかもしれません。飲みすぎた翌日、顔がやたらとむくんでいた。例えばそんな経験はないでしょうか。

アルコールには、血管を拡張する作用があります。血管が拡張すると、血管の窓が広がり、水が漏れ出しやすくなるのです。また、お酒を飲んだ日は、塩分の多いつまみやラーメンを食べるといった習慣がある方も多く、そういった習慣もむくみを出やすくしているかもしれません。

病的な原因で言えば、腎臓や心臓、肝臓の働きが悪くなることでもむくみが出ます。これは、腎臓が過剰になった塩分や水分を捨てる役割を担う臓器であり、心臓が全身の血液の循環を維持するポンプの役割を担う臓器であることなどを考えればお分かり頂けると思います。いずれも、足のむくみだけで始まることもありますが、その他の症状、例えば肺にも水が溜まり、呼吸が苦しくなるような症状も出てくることで区別されます。

病院では、これらの病的な原因が隠れていないかを探していくことになります。
 

自分でできる、むくみへの対処法と予防法


足のむくみがひどい場合や、他に気になる症状がある場合には、病院で原因を探すことになります。が、軽い足のむくみだけであれば、いくつか対処法があるのでご紹介します(参考4)。

先に紹介したように、下水道の水道管ともいえる静脈の流れをよくする工夫によって、むくみは出にくくなります。

例えば、足の体操や運動をして、足の筋肉を使うことでむくみは改善します。これは、飛行機に乗っている場合にはむくみ予防とともに、血栓予防という意味でも重要です。

体操をするかわりに足の周囲から圧をかけるという方法もあります。すなわち、マッサージを受けたり、弾性ストッキングと呼ばれる強い弾力のあるストッキングを装着したりすることでもむくみは改善します。

逆に、太腿やお腹まわりに圧がかかりすぎると足の循環は悪くなり、むくみは出やすくなりますので、きついガーターベルトやベルトを避ける工夫も有効です。あるいは、先ほどご紹介したように肥満もむくみの原因になりますので、肥満がある方はダイエットも有効です。

その他に、寝ている間に、足もとに枕を一つ入れて足を高くして寝たり、座っている間に、足おき台を使って足を高い位置に保持したりすることでも、足はむくみにくくなります。

塩分の話に戻れば、過剰なナトリウムは血管から漏れ出してむくみの原因となりますので、塩分を控えることもむくみには有効です。

 
 
 
 
 

このような方法を組み合わせることで、特別な治療法なしでも、むくみは十分によくすることが可能です。

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